第67話 エルフ夫妻の実力

エルフさんたちが


『そ、そんな緊張しないでっ』

『『ハ、ハイッ』』カチンコチン

だ、大丈夫かしら?


工芸神様が作ったトンデモ弓を持って


カタカタカタカタカタ

『『ダ、ダイジョウブ、デシュ』』

全然大丈夫そうじゃないんですけど!?


〖噛んだな〗

〖噛みましたね〗

『噛みました』

『気の毒に』

龍様に一票よ。普通なら恐れ多くてこうなるわよね。


『ならレイは普通じゃねぇな』

『たしかに。普通でしたら神殿は破壊しませんからね』

〖その通りですね。修理するのは私と主神ですし〗

〖だな!ガハハハ〗


『うぐぐっ』

言い返せないわっ


『と、とにかく、やってみます』

『そ、そうですね。あの的二つでいいですか?』


〖いいですよ。矢は⋯ああ、必要ありませんか?〗にこ


『いえ、先に矢を使わせて頂きます』

『はい。矢筒もありがとうございます』


『あらあらまあまあ、さすが様になってるわね』

胸当のようなのはこちらの鎧なのね。軽くて柔らかそうだわ。矢筒の背負い方も様になってるわ。というより、これぞ物語に出てくるエルフという感じだわ。美しいわ。目の保養だわ。ああ、ポスターにして部屋の壁に⋯っ


『何だかレイの目が腐っ⋯不気味⋯妙な輝きをしていませんか?』

『ああ、なんか怖ぇな』ヒクヒク

聖獣様方、何か?


『『では行きます』』

ヒュッ!スパンっ!


『え?』

な、なにが起こったの?気がついたら終わってた


〖ヒュ~♪やるな〗

〖ええ流石ですね。連射は出来ますか?〗


『『はい』』


『レイ、魔力を目に集めて見るんだ』

『は、はい』

龍様のアドバイスに従い目に魔力を集めてエルフさんたちを見ると


『『では行きます』』

その瞬間、目にも止まらぬ速さで背中の矢筒から弓を抜き、流れるような動きで矢を射る、そのまま次の矢を⋯

『すごい』

五本連続、全て的の中心に

『まあ、アイツらの実力はあんなもんじゃないだろうな。次、よく見てろよ』

『え?』

次?


〖では、これは?〗しゅっしゅっ

え?工芸神様が何か投げた?

『レイ、集中しろ』

『は、はい』

工芸神様が投げた物はそれぞれ五羽の鳥に姿を変え


『『⋯』』スッ⋯

シュッ

『え?』

五本一遍に?


ストトトトッ


『う、うそ⋯』

全部⋯

『お見事。全部的中だな』

当てちゃった⋯


〖おお、やるなぁ〗

〖そうですね〗

〖普通の矢でこれだけ出来るやつは中々いないだろな〗

〖というか、いないでしょう〗

うわぁ、神様がべた褒めだわ。


〖娘さん達もこの位できるのですか?〗

『いえ、まだまだですね』

『連射はそこそこ、同時に射るのはまだ二本か三本でしょうか』

ええ?十分すごいわよね?


〖では、次は耐久テストですね。いちばん得意な魔法はやはり風ですよね。ほかに矢に込められるのは?〗

『そうですね。風と水、それから氷です』

『私は風と火、雷なのですが』

〖ああ、森の中では向かない魔法ですね〗

『そうなのです』

〖ここでは加減は必要ありませんので、思いっきり叩き込んでみてください〗

『『は、はい!』』


工芸神様にそう言われて顔付きが変わったエルフさんたち


キーン


弓矢に魔力が

『二つ?』

『ああ、氷と火に、それぞれ風を纏わせてるな』

すごい


シュンッ ドカーンっ


『うわぁ』


ビキビキビキっ

ボワっ


的が片方は凍りついて、片方は炎に包まれてる


〖ふふ。いいですね。いきなり属性を混ぜてきましたか。弓矢は⋯大丈夫、無事ですね〗

『『え⋯』』

〖まあ、あの魔法を纏わせたら普通の矢なら一発でダメになるよな〗

〖まあ、瞬時に矢筒に戻ればバレないのでは?〗

〖ん~そんなもんか?〗

武神様が肩を竦めてるけど、アウトだと思うわよ。それにしても


『すごいわ』

威力も速さも

『風の魔法で威力と矢の速度を上げたんだな』

『ええ。素晴らしいですね』

なるほど


〖では、最後に、貴方方、矢はなくてもいけますよね?〗

『『はい』』

〖では見せてください。全力でいいですよ〗にっこり


『『はい』』


な、何?

『これこそがエルフの真骨頂だな』

『魔力で矢を作って飛ばしてるのですよ』

『弓で速さを増し、持ち前の洞察力で的確に相手の弱点を射抜くんだ』

『矢が無くても魔力が続く限り打ち続けられるし、矢筒から矢を抜く手順を省ける分、連射の速度も上がりますからね』


そう、さっきから引切り無しに色々な魔法の矢がすごい速さで打ち込まれている

『目に魔力を込めてるのに、手がぶれて見えるわ』

速すぎて捉えきれない。

『ふっ、レイもまだまだ鍛えなきゃいけないことがあるってこった』

『良かったですね。修行メニューが増えましたよ』

『あ、あはは』

私、いつ冒険に出られるのかしら?


〖そこまで〗

『『はい』』

〖ふふ、弓の使い心地はいかがですか?〗

『素晴らしいです。魔力をどんなに込めても全くぶれることもありません』

『はい。魔力が面白いように通ります。いつもより素早く射ることが出来ました』


そうでしょうね。途中から奥さんたら、ものすごい笑顔だったもの。

『うふふふ』ヒュンヒュンっ

うっとりというか?


〖頼もしい限りですね。では、娘さん達の物も同じで大丈夫ですね〗

〖あとは、聖域に降りる前に娘達とレイに仕込んでもらうようだな〗

『聖域に行ったら愛し子たちに教えてやってくれな』

『防衛手段が増えるのは良い事ですからね』


『『は、はい!』』

『精一杯努めさせていただきます』

すっ⋯

二人揃って美しいお辞儀で応えた。


私もしっかり学ばないと!


☆。.:*・゜☆。.:*・゜

お読みいただきありがとうございます。遅くなりましてすみません。

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