第62話 エルフ姉妹と天界樹の精様
レイさんが魔法の訓練と称して色々やらかしてる一方⋯
『ふむ。どうかや?精霊や妖精と心は通わせられておるかの?』
野原に座り込んで仲良く何かをしているエルフ姉妹に声を掛ける天界樹の精様。
『あ、天界樹の精様。はい。以前より会話できるようになりました』にこ
『前はカタコトに聞こえたり、途切れ途切れに聞こえることもあったのですが、今は会話と念話の両方でお話できるようになりました』にこ
例のじゃんけん大会で勝ち残った妖精達は、それぞれ名前をつけられ、契約を済ませている。そのおかげで、メキメキと力をつけてきている。
ただ、エルフ姉妹にはまだ名がないので、彼女たちに愛し子が名をつければ精霊になるか、それに近づくだろうと主神様が言っている。
『それは上々。今は植物を操る練習かや?』にっこり
『『はいっ』』
『でも難しいです』
『中々編めないです』
今、二人は手を使わずに地面から生やしたツタを三つ編みにしているようだ。
『そうじゃの。もっとお願いしてみると良いの』
『『お願い?』』
『そうじゃ。自分の力だけで編むのではなく、こうしたいから力を貸して欲しいとツタと、緑の妖精や精霊にお願いするのじゃ』
『『あっ』』
はっ!とした表情をしてから
『ツタさん、妖精さん、精霊さん。三つ編みにしたいの』
『まずこうして、次は⋯そう!すごい!』
ツタもスーッと伸び始め、進んで欲しい方に動き始めた。
『『わあっ!天界樹様っ』』バッ!
成功して嬉しそうに天界樹の精様を振り返る
『ふふ。その調子じゃよ。感謝を伝えることも忘れずにの』にっこり
『『はい!みんな、ありがとう!』』
二人の周りで妖精たちがキラキラと飛び回っている。
『うんうん。
『はい。父様と母様は武神様と工芸神様と修行中だと思います』
『武器と魔石の融合が何とかって?』
『なるほどの。⋯やらかしてなければ良いがの。まあ、後で様子を見てくるかの。では、妾は其方らの精霊魔法を見てみるかの』
『『あ、ありがとうございます!』』
『では、せっかく仲良くなった、そのツタで妾を捕まえてみるのじゃ』
『『は、はいっ!』』
こうして妖精たちの力を借り、ツタや植物を操り天界樹様を捕まえようとするが、するりするりと躱され、結局、息切れするまで頑張ったが、
『ふふ。それでは妾は捕まえられぬぞ』
掠ることもできない
ムチのように絡み付けようが、打ち付けようが⋯
網のようにしても⋯
捕まえることは叶わなかった。
『姉様』
『どうしたら⋯』
二人は考える⋯すると、思い出したのは、先程の天界樹の精様の言葉
『『お願い⋯』』
二人同時に呟いて、見つめ合ってから頷く二人⋯
『ふふ。どうやら思い出したようじゃの』
『『天界樹様~』』
『『お手伝いしていい~?』』
『其方たち、手伝いたくてうずうずしておるのじゃろ?』
『『『『『うん!』』』』』
見ていた妖精さんたちが天界樹の精様に、目をきらきらさせてお願いしてきた。
『良いじゃろう⋯エルフたち、他の属性も使って良いぞ。その代わり、妾も使わせてもらうがの』ニヤッ
『『は、はい!』』
『『妖精さんたち、よろしくお願いします!』』
ざわっ
『『『『『いいよ~♪』』』』』
わらわらわらわら
契約している妖精さんたちだけじゃなく、見守っていた妖精さんたちも、みんなうずうずワクワク!
『風~』
妖精さんが突風を起こし天界樹様へ
『甘いのぉまだ、妾は魔法を使ってはおらぬよ』すいっ
『『む~葉っぱ~』』
葉っぱが飛び苦無のように飛んでくる
『ふふ。考えたの。だが単独ではやはり当たらないぞよ』にやにや
気づくかの?
『『む~』』ぷんぷん
当たらないことに怒る妖精さんたちに
『妖精さんたち』
『力を合わせよう』
エルフ姉妹が提案すると
『『分かった~』』
『『がんばる~』』
みんな楽しそうに集まってコソコソ話を始めた
どうやら気づいたようじゃの
天界樹の精様は、微笑ましいのぉと、それを見守っている
次の瞬間、つむじ風に無数のキレの良い葉を混ぜて攻撃
『ほぉ⋯だが、甘いの』
しゅんっ
『『あっ』』
『『あ~っ』』
『『消しちゃダメ~』』
妖精さんたち、ぷんぷんっ
『ふふ。もうひと工夫欲しいの』
天界樹の精様、余裕です
『『も~』』
『『ちょっと待って~』』
『『くすくす。特別じゃぞ?』』
『『『『『うん!』』』』』
特別に作戦会議の時間をゲット!
こそこそ
『どうしましょう?』
『逃げれないように⋯』
『『多分、また甘い~』』
『『言われちゃうよ~』』
『う~ん』
『じゃあ⋯』
『『『『『『お~それで行こう~』』』』』』
どうやら相談が終わったらしい
『『お待たせしました』』ぺこ
『『『『『いっくよ~!』』』』』
やる気満々!宣戦布告!
『ふふ。元気があるのは良いことじゃ。さあ、いつでもかかって来るが良いぞ』にっこり
扇で口元を隠してニッコリ
『『むきーっよゆーっ』』
『『いっくぞー!第一弾!それーっ』』
『ふむ。次手があると宣言するのは頂けないのぉ』くすくす
『『あっしまったーっ』』
『『おばかーっ』』
なんとも締まらない妖精さんたちの第一弾は
『ふむ。先程と同じかや⋯む?』
『『まだまだーっ』』
ジャキジャキジャキッ
『ほぉ、三方を土の壁で囲い退路を塞いだか⋯だが』パチン
扇を閉じると、土壁は簡単に崩れた。
『まだまだ強度が弱いの』
『『む~っ』』
『『まだだよっ』』
ババっ
今度は地面からツタが足に絡みつこうと、上からは木の枝が
『ふむ。土の壁が壊されることは見越してあったか?それに、空を飛べることも見越して上も塞いだか⋯じゃが』
トンッ
『『あっ』』
『正面はどうじゃ?』
『『それもーっ』』
『『かぜーっ』』
ビュンッ
『ほう、鎌鼬かの。中々⋯』パチン
『『ああっまた!』』
鎌鼬も掻き消えた。そして
ふわり
『『え?』』
『ふむ。まあ、今の時点では及第点かの。よく考えたの』
視界から天界樹の精様が消えたと思ったら、後ろから抱きしめられていた。
『『ああ~』』ヘタリ
『『『ダメだった~』』』ぺしょ
『『『ずるい~』』』ぺしょ
みんな、力尽きて地面にヘタリこんじゃった
『ふふ。まだ始めたばかりで妾を捕まえられると思うたのかえ?それは流石に無謀というものじゃのぉ』くすくす
みんなはヘトヘトなのに、天界樹の精様は息一つ切れていない。
『まだまだじゃの』くすくす
『『はい⋯』』
『『『『『『がんばる~』』』』』』
ぺたんっ
あ、寝ちゃった⋯
まあ、とはいえ、初めから三属性を絡めてくるとは、やはり将来有望じゃの。楽しみじゃ。
天界樹の精様は、嬉しそうです。
☆。.:*・゜☆。.:*・゜
お読みいただきありがとうございます。
う~ん、戦闘ぽくなると難しいです。上手く伝わるかな~?
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