第64話 へーんしん!
涙が引っ込んだエルフさんたち
〖それでは、耳の縁に引っ掛けるようにしてつけてもらって魔力を通してみてください〗
『『は、はい』』
『はい。鏡』
『『ありがとうございます』』
レイさんが鏡を見せて装着してもらう。
イヤーカフには細かいツタのような彫りが施され、小さな石が散りばめられてアクセントに。思わず見とれてしまいそうになるのを我慢してイヤーカフをつける。
『うん。お似合いよ。じゃあ、鏡は変身した後にお見せするわね』うふふ
『『は、はい。ありがとうございます』』
〖では、魔力を通してみてください〗
『『は、はい』』ごく
覚悟を決めて、耳に手を当て魔力を流すと
すーっ
『あらあらまあまあ』耳が?
〖おお、成功か?〗
〖まだですよ。今は第一段階です〗
『まあ、目と、髪の色も?』
〖ああ、レイも珍しいからな後で変えるようだぞ〗
『そうだったわね』
金と銀の美少女たちと美女なんて、狙って下さいって言ってるようなものだものね。
『おい、武神、こいつ自分で美女って言ったぞ』
〖まあ、レイだからな〗
『まあ、事実、美人なのだから良いのでは?』
あら、グリ様嬉しいこと言ってくれて♪今度おやつの差し入れしましょう♪
〖さあ、終わったようですね。どうですか?体調が悪かったり、魔力の流れが悪くなったりは?〗
『いいえ、大丈夫です』
『私も大丈夫です』
エルフさんたち、体調は大丈夫みたいね、ほっとしたわ。それにしても、色が変わって神秘的な感じは薄まったけど、それでもやっぱり
『綺麗よね』
すごいわ。
『『え?』』
あ、そうだったわ。
『はい、鏡♪』
さあさあ、全身見てみて♪
『あ、耳が、普通の人の耳に』
『髪は茶色に目は緑だわ』
『私は髪は赤で瞳は茶だ』
そう。この世界、黒はほとんどいなくて割とカラフル。髪も瞳も色は色々。
でも金の髪はエルフ特有で、銀は珍しいらしい。
『なんだか、見慣れなくて変な感じです』
『私もです。顔は自分なのに自分じゃないみたいな』
まあ、そうよね。長年馴染んで来たものがいきなり変わるんだもの。違和感すごいわよね。でも似合ってるわよ。
〖一応、成功したようですね。良かった。聖獣たちにもこれで応用できそうですね。目立たないように認識阻害やサイズ調節も必要ですかね。あ、あと、鑑定や看破のスキル持ちに目をつけられないように隠匿も必要ですかね〗
わあ~工芸神様がひとりの世界に入っちゃったわ
ペケっ
〖いたっ〗
わっ額に爪がプスッと!痛そうっ
〖何をするんですかグリ〗
『何をじゃないでしょう。まだ終わりじゃないでしょう』
〖ああ、そうでしたね。すみません。次はこちらです〗
『ああっ弓ですか』
『なんて美しいのでしょう』
そう。工芸神様が次に出したのは弓。私は弓道ならやったことがあるけれど、これはそれよりも小さい弓みたい。コンポジットボウ位かしら?それにしても本当に綺麗。
〖ふふ。そりゃあ、その素材は、天界樹に分けてもらったものですから〗
『弦は私の尻尾の毛を加工したものですね』
『『え?』』ピシッ
あ、固まった
〖父君は弓矢は魔法で作れるでしょうが、聖域の外では、余程のことがない限りやらない方がいい。エルフだとバラすようなものですし、こちらを使って下さい。あ、こちらは打ったら矢筒に戻ってきますよ〗
工芸神様、得意げに説明してるけど
〖おい。工芸神、一度止まれ〗
〖なぜです。無粋ですよ〗
〖だって、聞こえてないぞ。ありゃあ〗
〖え?おや?〗
そう。エルフさんたち、固まったまま動かなくなっちゃったわ。かわいそうに⋯
きっとやりすぎってやつよね
☆。.:*・゜☆。.:*・゜
お読みいただきありがとうございます。フォロー、感想、応援、星などもありがとうございます
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます