第45話 覚悟

〖だからこそ、力を持つ者には責任がある。力は理解し、正しく使わねばならない。決して悪に呑まれてはならない・・・。あなた達に覚悟があるなら、私が責任を持ってあなた達を鍛えてあげる〗


魔神様の凛としたお声と、私たちを見定めるような鋭い眼・・・


答えは決まっている。


『私は、今度こそ孫を守るため強くなりたい。・・・違うわね、ならないといけない。孫だけじゃないわ。その周りにいる優しい人たちや、これから一緒に冒険するエルフさんたちのためにも、強くならなきゃいけない。魔神様、主神様、武神様、医神様、皆さん、私を鍛えて下さい。お願いします』頭を下げる


『『わ、私たちも!お願いします!』』がばっ

『我々も同じ気持ちでございます』

『『よろしくお願いいたします』』すっ

みんなで頭を下げる。


〖・・・不十分ね〗

〖うん。そうだね〗

〖その程度の覚悟じゃダメだな〗

〖そうだな〗

〖同感です〗


『え?』

『『『『なぜっ』』』』

何が不十分なの?


〖レイさん、みんな、人のためだけじゃダメなんだよ〗


『え?』

主神様?


〖レイさん、あなたはまた、愛し子やお隣さんを悲しませるの?絶望させるの?〗


『え・・・』

私が?悲しませる?あの子を?主神様の目はとても悲しげに何かを訴えている


〖自己犠牲は決して美しいものではないよ。あの時、残された愛し子の気持ち、考えたことある?〗


『・・・あ』

そうだ・・・

あの子を庇って私が刺された時、最後に見たあの子の目・・・

『あ、ああ』

私は・・・


〖分かったかな?あなたに何かあったら、いくらあの時の記憶は消したとはいえ、きっと愛し子はまた壊れてしまうよ。それに、記憶は完全には消せていないんだ。何かの拍子に戻る可能性もあるんだよ〗

そうだった。あの子の記憶の消去はヤツからあの子を隠し、ギリギリの中で行ったから不完全に終わってしまったと言っていた。私がもし、また死ぬようなことがあれば、きっとあの子の目はまた何も映さなくなる。あの空っぽの目に・・・ぎゅっ


『ごめんなさい。そうよね、何より私は、私のために強くならなきゃ。私は自分自身も守れるようにならなきゃ。私は絶対に、死なない!孫と一緒に生きるために!そのために強くなりたい』キッ

主神様たちの目を見て、もう一度


『私を鍛えて下さい。よろしくお願いします』

『『私達もお願いします』』

『亡くなった同胞たちの分まで』

『生きなくてはなりません。なにより、家族と共に歩むため』

『『よろしくお願いします』』

どうか、お願いします


〖・・・うん。それならいいよ。ね?魔神ちゃん。みんな〗

〖ええ。もちろんよ〗

〖ビシバシいくからな!〗

〖武神、馬鹿力は程々にしてくださいよ〗

『妾たちも協力は惜しまぬよ』

『そうですね』


あ、認めてくれた・・・!

『ありがとうございます!』

『『『『『よろしくお願いします!』』』』』

さあ、頑張るわよ!


☆。.:*・゜☆。.:*・゜

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