第69話 ごあいさつしましょう

ここは主神様の宮の奥⋯

白き神獣の王が、愛する妻とまだ産まれたばかりの子どもたちを見守っていた。


『みゅ~(ととしゃま~)』よちよち

『みゅ~(かかしゃま~)』よちよち

『ふふ、あと少しだぞ。がんばれ』

『がんばって。あとちょっと、あとちょっと』

『『みゅう~(よいちょよいちょ)』』よちよち

寝そべって待つ、見事な鬣の真っ白な獅子と、寄り添う美しい獅子が、優しい目でヨロヨロヨタヨタ転がりそうになりながら歩く練習をする真っ白な毛玉⋯子猫のような獅子の子たちを見守っている。


よちよち ころんっ

『『ふみゃあっ(わあっ)』』


ぽすんっもふんっ


『よく頑張ったな』ぺろ

『えらいわ。到着よ』ぺろ


『『みゅ~ん(やっちゃあ~♪)』』くふん

なんて穏やかで平和な光景⋯


〖〖『いや~ん♪かわいい~♪』〗〗


を、突然襲う女性の声⋯


びくうっ

『『うみゃあっ(なに?なに?だぁれ?)』』ぴるぴる


『ああっごめんなさいっ怯えないで』おろおろ

ああっかわいいベビーたちのおめ目が見開いて、完全にお耳がぺしょんっ、ああ、しっぽまでお股に挟んでぷるぷる震えてお父さんの後ろに隠れちゃったわ!大丈夫よ、食べたりしないわっ


〖突然悪いね、獅子。お邪魔するよ〗


〖子どもたち、大丈夫だ。主神、魔神様、女神様、ようこそいらっしゃいました。そして、そちらの方が?〗


〖そう。愛し子のおばあさんだよ。若返りすぎておばあさんじゃないけどね。やっと目覚めてくれたと思ったら、君たちのとこでもこの子たちが生まれたところだったからね。そろそろいいかな?と思ってお連れしたんだ〗

産まれたばかりの赤ちゃんがいる時のお母さんは特に情緒不安定になるものね。


〖そうでしたか。ご挨拶が遅くなりまして申し訳ございません。私は主神様の神獣の獅子。こちらが妻と子どもたちでございます〗

姿勢を正された獅子様と奥さん。子どもたち


『レイと申します。こちらこそよろしくお願いいたします。それにしても、流石ですね』うんうん


『何がでしょうか?』


『失礼ながら他の神獣様の方より佇まいも感じられる存在感も別格。話し方も知性が溢れておりますし、何より⋯』


『何より?』


『その美しいお姿!立派な鬣にフサフサもふもふなお体!美しい奥様にかわいいかわいいお子様たち!先程のよちよちと歩く姿、それを見守る優しいお姿、もうもう、何もかもが素敵だわ!』ふーふーっ

嗚呼っ!全力でモフりたい!!


『『え?』』ヒクヒク

『『みゅう~ん(こわいよ~ぉ)』』ぴるぴる


〖どうどう、レイさん。怖がってるよ〗ぽんぽん


『あ、あらあらまあまあ?私としたことが⋯おほほほほ』

ついつい、思いの丈をぶつけてしまったわ。


『あ、ありがとうございます』

『レイ様、これからよろしくお願いいたしますね。ほら、あなたたちも』

『『みゅ、みゅう~(よ、よりょちくおねがいちましゅ)』』びくびく


『はい。よろしくお願いいたします⋯ああ~っかわいい!かわいいわあ~っ』

ダメだわ、我慢できない!

〖分かる、分かるわよレイ〗

〖ええ。かわいいですわよね〗

『はい!もう、我が孫のかわいい姿を思い出したわぁ』

可愛かったけど、大変だったわね⋯


ぴくっ

〖あら、愛し子の?向こうの世界にいた時の?〗

『そうよ。退院してからも、まずは栄養とらせて、ハイハイから出来るようにしたかったんだけど、食が細すぎて中々思うようにいかなくてね』はぁ⋯

今、思い出すだけでも、悲しくなって腹が立ってくるわ。


〖〖そう⋯〗〗


〖ハイハイが出来るようになってからも、バランス感覚が悪いらしくて、しょっちゅう転んでね。家中の角という角を、源さんも手伝ってくれて丸くしたりクッションつけたり⋯、歩けるようになってからもしばらくは源さんが作ってくれた歩行器のお世話になったのよ。だから、元気で健康な赤ちゃんやお子さんを見ると、安心して嬉しくなっちゃうのよね〗ふぅ

少し、羨ましいというのもあるかもね。


『『みゅう~(元気だして~)』』かりかり


『あ、あら?どうしたの?』

いつの間に?さっきまでプルプルしてたのに、仔獅子ちゃんが私の足元に来てかりかりしてるわ


『⋯我が子らは撫でて欲しいみたいですね』

『あなたのことが気に入ったようですわ』

(無意識に慰めなきゃと思ったようだな)

(そうですね)


『まあ、いいの?』

『『みゃあ~(いいよ~)』』

『ありがとう。あらあらまあまあ、もふもふねぇ』すりすり

座って抱き上げて、思わず頬ずりしちゃうわ

『『みゃあ~(くすぐったいよ~)』』

『あらあらまあまあ、ふくふくなあんよね。やっぱり可愛くても獅子なのねぇ。おっきくなるんでしょうね~』むにむに

『『みゃあ~(やっぱりちょっと怖いよ~)』』

『『あらあらまあまあ、かわいいわぁ~気持ちいいわぁ~』』なでなでもみもみ

『『みゃあ~(いや~ん)』』バタバタ

〖レイさん、やりすぎはダメだよ~〗

〖〖嫌われちゃうわよ〗〗

『ハッ!つい可愛すぎて~♪ごめんなさいね。おほほほほ』なでなで

『『みゅう~(でもなでなでは合格~)』』ごろにゃん


とりあえず、レイさんは主神様と魔神様の相棒、神獣の王・獅子の家族に認められたようです。


『あ~かわいい~♪』なでなでもふもふ

『『みゃあ~(もっとなでなでしていいよ~)』』


☆。.:*・゜☆。.:*・゜

お読みいただきありがとうございます。

遅くなってすみません。

フォロー、感想、応援などありがとうございます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る