第56話 レイさんに石は⋯
山ほど積まれた魔石の山。全て今は空だと言う。
〖聖域にいる地の精霊王に作ってもらったのよ♪〗
『そ、そうなんですね』
こんなにたくさん⋯さぞかし大変だったでしょうに。
〖愛し子はね?どういう訳か石と会話出来てね?〗
『はい?』
石と会話?
〖そうなのよ。愛し子曰く「石ちゃん、もうちょっと、言ってる」のだそうよ〗
『はい?』
もうちょっと?
〖そう。他にも「もういいよ」とか「ごちそうさま」とか「毎晩寝る前にご飯ちょうだい」とか⋯あ、このご飯は魔力のことよ〗
『へ、へえ?』
ご飯ちょうだい?
〖そう。挙げ句の果てに、「この子には入れちゃダメ言ってる」とか、これはこの子に、これはあの子にって石の相性まで分かってね〗
『そ、そうなの?』
なんで分かるのかしら?
〖だからみんな自分の魔石を手にして、毎晩石にご飯あげてるのよ。魔力切れ寸前まで魔力を使って寝ると、起きたら魔力が増えるから魔力量アップにもなるしね。魔力操作の向上になるし、一石何鳥にもなってるわよ〗
『へ、へえ』
すごいわね
〖まあ、最近じゃ魔力量が増えて魔力切れ寸前になるようなことがないんだけど。ちょっとずつドワーフたちがアクセサリーなんかに加工して持ち歩けるようにしてるわ。何かあった時の予備魔力になるようにね〗
『あ、なるほど⋯溢れた魔力をこれに入れておけば、万が一の時に引き出せるのね。あら?属性ごとに入れたらどうなのかしら?魔力がなくても攻撃魔法が出せたりとか⋯あ、水と火の魔力があれば外でもお料理が楽に⋯あ、お風呂にも入れたりとか?』ぶつぶつぶつ
レイさん、魔神様の言葉から一気に魔石の可能性に気がついた!しかも⋯
〖ちょっ、ちょっとレイ?〗
ぶつぶつ言ってるレイの手にはいつの間にか石が!まだ見せただけで渡してなかったのに、誰だ渡したのは!?
『にゃあ?』ころころ
『きゅん?』ころころ
〖あ?チビ助!〗
〖龍のチビまで!〗
あんたたちかーっ!
〖そういえば、お隣の源さん、言ってたね~〗
『確かに、自分も研究肌だけど、レイも負けてないと仰ってましたね。料理長』
『言ってたな。愛し子の飯とかだろ。それに火をつけちまったってか?』
『魔神様、魔神様が見せただけの魔素、属性ごとに集めてないかえ?』
〖そ、そうね〗
〖お母様、集めるだけじゃなくて魔石に入れてませんか?〗
〖あ、あはは〗
そう。レイさん、勝手に色々試し出した!
『うふ、うふふ、氷、いいわね。保冷?冷凍庫?クーラー?』ぶつぶつぶつ
うわあ、怪しい科学者みたいにっ
〖ちょ、ちょっとレイっ〗
〖魔神ちゃん、残りの石危ないからしまった方がよくない?〗
〖あ、ああっ、そうよね〗ぱちん
『うふ、うふふ、色々出来そうねぇ⋯』ぱっ
『なんで、消すの⋯』ぎらりっ
〖〖ヒイッ〗〗
おもちゃを取り上げられてレイさんがっ、般若!
『石⋯ちょうだい』ゆら
〖〖ヒ、ヒイイ〗〗
後ずさる主神夫婦
『ちょうだい⋯』
〖そこまでだ〗トン
ばたんっ
〖〖武神(ちゃんっ)〗〗
助かった!
〖やれやれ⋯〗
暴走したレイさん、武神様の当身により、強制終了。
レイさんにおもちゃは与えないでください。
☆。.:*・゜☆。.:*・゜
お読みいただきありがとうございます。遅くなってすみません。
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