第2話 前世の私

本日2話目です。よろしくお願いします。

☆。.:*・゜☆。.:*・゜


私は以前、違う世界で目に入れても痛くない、いえ、むしろ入れたいくらい、かわいいかわいい孫娘と暮らしていたの。


「おばあちゃん、もーもーにょおいちゃん、きょうみょ、くりゅかにゃ?」

『あらあらまあまあ、あなたはお隣のおじさんが大好きね。ちょっと妬けちゃうわね』

「やきゅ?ひ、ぽっぽ?あぶにゃいよ?」

『あらあらまあまあ、火で焼くわけではないのよ』

「しょっか~」にぱ


ちょっと、時々、いえ、かなり心配になることがある孫娘だったけど、お隣の源さんたちの助けも借りて、二人仲良く暮らしていたわ。


でも、そんな私たちを引き裂いたのは孫娘の実の母親だった。孫娘を虐待していた母親は、私のかわいい孫娘を殺しに来た。自分が不幸なのは娘のせいだと。はっきり言って狂っていた。私は孫娘を庇い刺されて死んだそうだ。


なぜ亡くなった優しい息子があんな嫁を選んだのか不思議だったが、この世界に来て、この世界の主神様より説明を受けて驚いた。そして、納得した。


この世界の神の一柱が、本来この世界の愛し子として生まれるはずだった孫娘の人生を狂わせたのだという。

この世界から攫い、違う世界に放り込み、不幸になる姿を楽しんでいたのだと。

私の息子と、嫁はその駒にされたのだと。だからと言ってあの嫁を許すわけは無いのだけど。ああ、腹が立つ!あの嫁にも、油断していた私自身にも!


『ああ、腹が立つ!』どごーんっ

あ、しまったわ。床にクレーターが出来てしまったわ⋯おほほほほ


〖まあまあ、落ち着いて~あなたのせいではないのですから。私たちはあなたに感謝しているのですよ。あ~床は今の内に直しとこうね~〗ピカッ

あら、助かるわ。あの怖い方に知られてしまうと大変だもの


〖そうだぞ。今、愛し子がこの世界に戻ってこれたのも、愛し子が楽しく暮らせているのも、お前さんが愛し子を愛し育ててくれたおかげだ〗

〖その通りですよ。ありがとうございます〗にこ

〖ありがとな〗ニカッ


『そんなっ』

こんな風にこの世界の主神様たちは私を責めるようなこともせず、感謝すらしてくれるのだ。ついでに証拠隠滅も図ってくれた。ありがたいわ、ここには少々怒らせると怖い方が⋯


『おやおや、すごい音がしたので来てみたのですが、気のせいでしたか。フフフ』にゅっ


『ヒッ!』ビクゥッ

う、噂をすればっ⋯いえ、噂をしちゃいけない人だったわ!


〖あ、いいとこに来たね。君からも伝えてくれない?〗

〖コイツ、まだ気にしてんだぜ。俺たちは感謝こそすれ怒ったりなんかしてないってよ〗


『え?あ、あの大丈夫ですよっもう分かりましたから』

神様方、余計なことは言わないで~


『おや、そうなのですか?邪に落ちたヤツのしでかしたことはむしろ私たちの責任。あなた様も、先に愛し子の元へ行かれたあの方も、巻き込まれてしまった被害者。何一つあなた方が責任を感じることはないのですよ。むしろ私たちからの感謝と謝罪を受けて頂かなくてはなりません。ああ、まだ分かっていただけないようでしたら、これから椅子に座って頂いてお茶でも頂きながら、お分かりいただけるまで懇切丁寧にご説明いたしますよ』にっこり ひゅお~


『あらあらまあまあ、執事さんの貴重なお時間をいただくなど出来ませんわ。謹んでご遠慮させて頂きます。おほほほ』だらだら

怖いわ~寒いわ~。これが孫娘だったら今頃「こわこわこわこわ」って声に出して震えてるところだわ。


『おや、そうですか?遠慮なさらずに。それから私は主神様の補佐であって執事ではありませんよ』にっこり

『いえいえ、もう充分ですわ。補佐様』にっこり

お願いだから勘弁してくださいな


〖さすがだね~(誰も適わないよね)〗

〖うんうん。あいつに任せれば間違いないな(最強腹黒だからな)〗


『おや、お二人の方がお話が必要なようですね』にっこり


〖〖遠慮する(よ~)〗〗にっこり


『あ、あははは』

やっぱり執⋯補佐さん、只者じゃないわ


☆。.:*・゜☆。.:*・゜


お読みいただきありがとうございますm(*_ _)m

お気に入り登録などありがとうございます。

感想などいただけますと励みになります。

他の作品もよろしくお願いします。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る