第3話

「かしら、大変だ!拠点の付近で不審者2名がいた!」


先程逃げた男が、拠点に戻り、息切れがしながら叫んでいた。


高座に座っている傷顔の男は険しい顔をし、低い声で言った。「知っている。お前は帰り道を案内してあげた。馬鹿者だ」。


かしらの言葉に呆然とした男は振り向き、霍夜の二人がここまで追いかけてきたことに気がついた。


「山賊はここに隠れているのか!」


霍夜は驚いて周囲を見回し、山賊を見たのは初めてだったのである。


「よく二人だけでここに侵入する勇気があるなあ。身のほどを知らぬやつだ」


傷顔の男はゆっくりと立ち上がった。侵入者があったとはいえ、味方が大勢いるから、恐れることはなかった。何より自分の力に自信を持っていたのである。


「死にたいなら、殺せ!」


そして、傷顔の男は部下に命じて、二人の侵入者に押し寄せ、苦痛を与えるようにした。



山賊が押し寄せてくるのを見、霍夜は棒を抜いて戦おうとしたが、草津が先に手を出した。


刀の光が走り、一切り、二切り、三切り、四切りと草津は刀を持って斬り続け、あっという間に先頭の4人の盗賊が地面に倒れてしまった。


「俺にこいつらを任せ、かしらは頼むぞ!」と。


草津はここに時間を無駄にしたくないので、率先して雑魚たちを処理し、かしらを霍夜に任せて彼の実力を見る。


霍夜は傷顔の男のところに来、棒を掲げて「爺さんのようないい人をいじめてるなんて」と言った。


草津の強さを見、傷顔の男は顔をしかめた。こんなに強いとは思っていなかった。目の前のガキの実力はどうか。


霍夜の自信に満ちた様子を見、傷顔の男は明らかに少し警戒していた。思い切りやるつもりである。


「何十年も盗賊をやっているが、ガキ二人にいじめられたのは初めてだ。じゃあ、かしらになれる実力を見せるぞ!」


パロの手から力が出て体から半白・半透明な光の点が出てきた姿に、霍夜は驚きを隠せなかった。


「見たのか?これは『霊』だ!俺はもうこの不思議な力を操ることができる、強力な男になったのだ!」


霍夜の驚きの表情に、パロは誇らしげになった。これは彼の長年の訓練の成果であり、すべての凡人を打ち負かすのに十分なものである。


「今さら後悔しても遅いぞ。霊のパワーを味あわせてやろう!」と。


パロの体から出た霊は、手にした刃物に移り始め、大きな威力の含めた一撃を霍夜に斬りかかった。


「醜いおじさんも霊の使い方を知っているか!ちょうどいいよ。俺もできる…」。


霍夜は気を取り戻し、その体から霊が現れ始めた。しかし、パロと違い、彼の体から出た霊はあまりにも多く、集まって液化気体になり、流れ始めたのである。


そんな光景を見て、パロはショックを受けた。目の前にいるまだ17、18歳の青年が、すでに自分よりもずっと強い力を持っていることを知った。振り向いて走り出したいところだが、すでに刀が出ている以上、立ち止まるわけにはいかない。


「受けろ、醜いおじさん!」


霍夜はパロの攻撃をシンプルに避けると、霊を鉄の棒に流し、攻撃な姿勢になった。


気撃!


その一撃は霊でさらに威力を増し、パロは家に飛ばされ、木造の家はその衝撃に耐えられず倒壊してしまった。


草津も戦いが終わり、雑魚山賊との戦いがこんなに早く終わるとは。霍夜が霊を使うのを予測したが、ここまで使うのは思いつかなかった。


草津が自分を見ているのを見、霍夜は嬉しそうにY Aを出して勝利を祝った。自分の実力を見せたから、後でまた草津を自分の仲間にすることを試してみる。


しかし、煙が消えても倒れているパロの姿はなく、探した結果、パロはなぜか少し先の厄介な位置に現れ、逃げようとしていることがわかった。


「そこで止まれ!」


もちろん、霍夜はパロをこのまま放っておくわけにもいかず、草津も霍夜の後ろに従えてパロを追いかけた。


「くそったれだ!どうしてこんな怪物がいるんだ!」


パロは走りながら、こんな辺鄙でこんな強力な化け物に出会い、しかもこうして追いかけてくるなんて、運が悪いと文句を言っていた。


霍夜は元々パロより速く、パロは負傷もあり、二人の距離は1尺もないほどであった。


山のような姿が再び現れた。鐵鱷龜が復讐のために戻ってきたのである。


これには霍夜も草津もぎょっとし、パロはその隙に再び逃走を図った。



霍夜がどちらが先に手を出すかわからない時に、草津は足を止め、両刀を抜いた。


「逃げ続けていては強くなれない!これは私の獲物だ、君はその人を追え!」


鐵鱷龜に再度遭遇した草津は戦意が高まり、このチャンスを逃すまいと、霍夜を催促した。


二人にはそれぞれの仕事はあるので、霍夜はうなずいてパロのいなくなった方向へ進む。


「さあ!お前の強さを試させて!」


「疾草!」


草津の軽快な動きと素早い斬りで、すぐに鐵鱷龜の側に回り込み、斬りつけた。


しかし、霍夜の攻撃と同じように、この攻撃も鐵鱷龜の硬い殻に火花を散らしただけで、その防御を突破することはできなかった。


「殻の外側の部分はどうなっているのか?」


鐵鱷龜の殻を破れないと見て、草津は狙いを変え、鐵鱷龜の前足に向かってまっすぐに切り落とした。


しかし、草津が予想しなかったのは、鐵鱷龜の前脚も同じように硬くて厚く、石を叩くように、脚に白い跡を残すだけであった。


草津は、自分の攻撃がダメージにならなかったことに落ち込んだが、すぐに気を取り直した。


「このような相手に勝つには、自分の力を出し切らないと無理だ!」と。


草津は霍夜の見せたような霊を刀にまとい、その刀はさらに力強くなり、鐵鱷龜に再び斬りかかった。


「疾草!」


草津は鐵鱷龜の足に狙い、霊の力を借り、その一撃はついにダメージを与え、その足に血まみれの傷を残した。


草津が喜んでいるところ、鐵鱷龜の尻尾が体に振りかかってきた。草津はとっさにかわしたが、尻尾は周囲の木々に振りかかって木を倒した。


草津は、倒れた木々を見、あの一撃をくらったら、何本か骨が折れていただろう。霍夜のやつ、よく耐えたなあと怖がりながら、思った。


∗ ∗ ∗ ∗ ∗ ∗ ∗ ∗ ∗


一方、倒れたパロを見、霍夜はどうやら悪者を仕留めたばかりのようで、手を叩いている。


そして、パロが腕に抱えている包みを発見し、開けてみると、中には鉄のような灰色の球体が3つ入っていたのを見た。そして、霍夜はパロに向かって「これ何だ?」と聞いた。

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