第2話
赤ウワバミが自分たちを取り囲んでいるのを見て、2人は慌てなかった。草津は腰から二本の長刀をゆっくりと抜き、霍夜は背中から鉄の棒を抜いて戦おうと身構えた。
「これは赤ウワバミだ。さっきの音に惹かれたのか。噛まれると火傷より痛いから、気をつけ。」
霍夜はうるさいが、朝からずっと一緒にいるから、草津は忠告したのである。
しかし、間一髪のところで、一匹の赤ウワバミが口を開けて草津に撃ってきた。
刀の光が走り、撃ってきた赤ウワバミ空中で2つに切断されて地面に落ち、体をくねらせて息絶えた。
赤ウワバミを切り殺した草津は目の前の赤ウワバミは脅威ではないように無表情で、周囲の赤ウワバミは本能的に危険を察知し、両者は膠着状態に陥った。
ひときわ大きな赤ウワバミがヒューと鳴くと、蛇の群れが命令されたかのように押し寄せ、戦いが一触即発のである。
草津は相変わらずプレッシャーを感じず、両手に持った両刀を振り回し、赤ウワバミを野菜のように斬り、数匹の赤ウワバミの死骸が彼のそばに積み重ねた。
霍夜は初めてなので蛇退治が遅かった。飛んできた赤ウワバミを棒で叩き落す程度だけであった。
だが、すぐに慣れて棒を回し始め、力強いスイープで何匹もの赤ウワバミを掃き出した。
草津は、赤ウワバミの数が多く、一匹ずつ殺すのは無理だと思い、霍夜が大量の赤ウワバミを掃き出した隙間を見、一躍で後ろに隠れている巨大な赤ウワバミに向かって切り出した。
「疾草!」
草津の素早く刀を振り切り、巨大な赤ウワバミは胴体と頭部が分離し、息絶えた。
この実力で、霍夜は草津のことに興味津々となり、彼を自分の仲間にすることを決めた。
一方、赤ウワバミの群れは、指揮がないため、逃げ始めた。二人は蛇が退いたのを見て安心した。何しろさっきの赤ウワバミの数は驚くほどあり、一匹ずつ相手にするのは面倒だったのである。
二人がほっとしたところ、前方からどんどんとする足音が聞こえてき、再び緊張が走った。
すると、地面が揺れ、森の中に巨大な生き物が向かってくるのが見えてきた。
巨大な生き物が近づいてくると、周囲の木々はその巨体に耐えられず砕け散り、ついに霍夜たちの目の前までやってきた。
「鐵鱷龜!」
草津は瞳孔が収縮し、思わずつぶやいた。初めて見るものではあったが、強者から恐れられているこの生物を倒すことが今回の旅の目的であった。
「鐵鱷龜?なんて珍しい名前だ。」霍夜は初めて見るこの巨大な生物にも臆することなく、興味深そうに見ていた。
「お前は手を出すな!これは私の獲物だ!」
草津は霍夜を無視し、腰から二本の刀を抜き、左右に構え、目の前の巨大な生き物を見つめながら、オーラが強くなった。
とはいえ、草津は巨獣を前にして少し緊張していた。どう攻めるか考えているところ、霍夜が先陣を切った。
さっきの熱血が冷めないうちに、霍夜がジャンプして手に持った棒を振りながら突進し、鐵鱷龜の甲羅に強烈な一撃を加えた。すると、鐵鱷龜の甲羅に大きな金属音を立てた。
この時、霍夜は自分の攻撃が硬い鉄の塊に当たったように感じ、その余韻で手がしびれるような感覚を覚えた。
無謀な攻撃には代償があり、彼が油断している時、亀は巨大な尾を振り回して反撃に出た。その一撃をかわすことができず、霍夜は後方へ飛んでいった。
はねられた霍夜は周囲の木々にぶつかり、その衝撃の痛みに頭が混乱した。
しかし、鐵鱷龜はそう簡単に霍夜を見逃がすつもりがなく、彼の前に突進して前足を上げ、のしかかりを食らわせるのである。
この危機一髪の時、草津はついに動き出した。両手に刀を持ち、迫ってくる鐵鱷龜を食い止めたのである。
「この力…」
この時、草津は青筋が立ち、鐵鱷龜の恐るべき力を深く覚えながら、必死で耐えていた。
草津は目の前の巨獣を見、一方は自分の目標、もう一方は油断して怪我をした霍夜、彼は迷わず倒れた霍夜を掴んで森へ走った。
草津の考えでは、巨大な鐵鱷龜を前にして霍夜を守りながら戦うことは不可能であり、ひとまず退却することが最善の策であった。
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森の中に簡易な木造の建物がいくつかあり、その一番大きな建物の前には悪人らしき人たちが集まっている。
群衆の真ん中に、顔に長い傷のある男が座っていた。彼は静かに、部下が3つの球状の物体を目の前に持ち、ゆっくりと差し出したのを見ていた。
3つの球体を見た後、傷顔の男は少し興奮しながら立ち上がり、そのうちの1つを持ち上げてよく観察した。その球体は男の拳よりも大きく、鉄のような灰色の亀甲の模様で覆われていた。「鐵鱷龜を誘い出すのに苦労した甲斐があった。この3つの卵はきっといい値がつくのだ!はははは!」と、傷顔の男は満足げに言った。
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小川のほとりで草津は木に寄りかかって休み、霍夜は頭をさすってさっきの混乱から立ち直ったようである。
「草津、助けてくれてありがとう」
と、回復した霍夜は顔に笑みを浮かべながら言った。
草津は先ほどまで危険な目に遭っていた霍夜がすっかり楽観的になったのを見、「霍夜、この冒険に出る理由はなんだ」と淡々と聞いただけである。
霍夜は、まさか草津がいきなりこんな質問をするとは思っていなかったので、困ったような顔をして少し考えてから、「そうか…強い男になるために?いや、これは2つ目の夢だ。私は…『黄金の樹』を探すために冒険に出た!」
「黄金の樹?」
草津は、霍夜の答えに少し戸惑った。
「黄金の英雄に登場する黄金の樹だ。ある人とそこで待ち合わせるのを約束したんだ!」霍夜は自信と憧れを満ちた声で言った。
草津は、霍夜の説明を聞いて初めて伝説の話を思い出した。霍夜の目標がそんな神話的なものだとは知らなかったのである。でたらめな話だが、世の中には自分の理解できないことがたくさんあり、それをどうこう言える立場ではないことを彼は知っていた。
霍夜の答えを聞いたとたん、草津は立ち上がり、帰ろうとしている。
「仲間になれ!私と一緒に黄金の樹を探しに行こう!」
草津が帰るのを見、霍夜は厳粛に誘いの言葉を言い出した。
草津はただ立ち止まって振り返らず、霍夜に背を向けて「私の目標が何だかわかるのか?」と淡々と言い返した。
「草津の目標?何なのか?」
草津の目標に対して、霍夜は疑問だらけである。
「復讐だ!ある人を倒したい。そのために、自分が強くならなければ!」
草津は、周りの空気が少し冷たくなるくらい、怒りと憎しみを込めて話した。
霍夜の予想外の目標である。道理で、草津が自分を鍛えるために鐵鱷龜のような強力な獣を見つけるのである。
「わかったよね!私たちの道は違う。あなたは山賊のところへ、私は鐵鱷龜のところへ行く。」
草津は霍夜と冷たい別れを告げ、再び出発しようとした。
ちょうどその時、川の向こうに水を汲んでいるような人がいたが、二人を見ると「やばい」と言って急いで逃げていった。
突然の他人に二人は唖然としたが、霍夜は何かに気づいたようであった。
「逃げるな、山賊!」
その男の異様さを目の当たりにして、フオは本能に従って後を追った。
帰るつもりだった草津は、その姿を見て歯を食いしばってついていき、燃え盛る焚き火だけが残っている…
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