【常闇の安寧】(sideティナ、エリッサ
「どうしよう……。マスターすごく弱いのに1人にしちゃった……」
私こと【聖女】ティナは絶望していた。
敬愛する最高の
その事実だけが重たくのし掛かる。
「それでレオンはどれぐらい戦えない?」
「戦えないっていうレベルじゃない。剣を持てば壊すし、盾なんて重くて扱えない」
「え……」
そう、マスターは普段弱い。
ただそんなマスターにも1つ希望がある。
マスターはSランク冒険者全てを束ねる王都最強の冒険者だ。
だからピンチになればきっと本来の力を発揮してこのぐらいのダンジョンクリアしてくれるはず。
「とりあえず最下層に行こう。マスターなら最短でボスを倒しにいくはず」
「そんな弱い男がどうやって最下層のボスを倒すんだ……?」
「大丈夫。マスターには秘策があるはず。今回の罠にもエリッサを試したくてわざとかかった」
「本当か……? 私にはただ油断していたようにしか見えなかったが」
マスターには何か策があったに違いない。
実際あのまま探索を続けていてもエリッサのことはよくわからなかっただろう。
だからこそエリッサの実力を測る為にマスターはわざと転移の罠にかかった。
そうですよね? マスター。
◆◆◆
僕は今笛の制御に困っていた。
どうやらこの笛は自律的に動くらしく、僕の意志とは反対にボスがいそうな方向へまっすぐに飛んでいく。
僕としては安全に脱出したいのでボスとは戦わずにティナとエリッサを待ちたい。
「おい止まれって!」
そんなことを言いながら追いかけているとボス部屋らしき部屋の入り口へと辿り着く。
明らかにヤバい雰囲気が漂う扉の前で僕は溜息を吐き、へたり込む。
これは僕では無理だ。
なんならエリッサでも厳しいだろう。
ティナでぎりぎりぐらいだ。
「昔来た時よりも【常闇の安寧】パワーアップしてるんじゃないか……?」
僕はそんなこと言いながら勝手に開いた扉へと足を踏み入れる。
暴れて音と光を撒き散らす笛もセットだ。
◆◆◆
ボス階層へとたどり着いた私は異常な雰囲気を察する。
明らかにボスの雰囲気がおかしい。
「エリッサは残った方がいい」
「何故だ? 私も行く」
どうやら彼女ぐらいではこの雰囲気は読み取れないらしい。
恐らくマスターはこの化け物を先回りして倒す為に転移の罠を踏んだのだろう。
エリッサでは荷が重い。
「エリッサとりあえず私はここでマスターの到着を待つけど……」
「わかった。ティナほどの実力者言うなら待とう。だが半刻して来なかったら先に挑戦して安全な状態にしてからレオンを待つぞ」
「……わかった」
恐らくこれはエリッサへのマスターからの試験
。
ということは半刻以内にマスターは来ないだろう。
———
伸びがすごいです。
いつも星ブクマハートくれる方本当にありがとうございます!
読んでくださっている方にも感謝です!
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