決着
ダンジョン5
「マスター……試験にしてもやりすぎ……。あれは流石にエリッサには荷が重いと思う」
合流した途端に目の前にいるドラゴンゾンビを指差し、文句を言ってくるティナを横目に僕はどうしたものかと考えていた。
ドラゴンゾンビは通常Sランク冒険者がパーティーを組んで倒すレベルの魔物だ。
「ところでレオンその笛はなんだ……?」
「あーこれ? これはなんだろうね……」
僕に聞かれてもわからない。
吹いたら空を飛んで光を撒き散らしながら魔物を蹴散らす笛なんて聞いたことも見たこともないし、知ろうとも思わない。
ティナから貰ったものなので聞く勇気さえあれば教えてくれはするだろうが。
「それでなんだけどマスターに前衛をお願いしたい。エリッサが精霊魔法を1回打つまででいいから」
「ごめん。よく聞こえなかったからもう一回いいかな?」
僕は聞き間違いをしたかなと思いながらティナに聞き直す。
ティナだって僕が戦うことすらできないただのBランク冒険者だって知ってるはずだ。
「マスターには前衛をお願いしたい」
どうやら聞き間違いではなかったようだ。
最悪死にかけても死にさえしなければティナになんとかしてもらえるはずだけど……。
「僕に前衛は難しいよ。それに装備もない」
「こんなこともあろうかと装備なら私が持ってきてる。マスターがいつも使ってるやつ」
「ティナ本当にレオンを前衛に立たせて大丈夫なのか……?」
「大丈夫。マスターはいざという時は強い」
「さっきまで弱いって言ってなかったか?」
「それは平時の話。ピンチになったマスターは負けない」
別に僕は平時だろうがピンチだろうが弱いけどね?
ティナといい、エマさんといい、皆何かを勘違いしている気がする。
そんなことを考えていると笛がドラゴンゾンビへと不意に近づき始めた。
今の今まで大人しくしていたのに。
「どこ行くんだ! そっちは危ないぞ!」
笛に対して少し情のようなものが湧いていた僕は笛を全力で止めようとする。
それでも笛はピーヒャラピーヒャラと今までで1番激しい音を出しながらドラゴンゾンビへと向かっていく。
そして笛はドラゴンゾンビに体当たりをすると最後の輝きと言わんばかりの輝きを放ち、爆発した。
「……笛お前ってやつは……」
笛の爆発した後には体が溶けて消えかかっているドラゴンゾンビがそこには居た。
光る笛は跡形もなく消し飛んでおり、僕は少し悲しくなる。
折角ここまで一緒に冒険してきたのに……。
「マスター……?」
「どうした?」
「あの笛ってもしかして?」
「ティナがくれたやつだな」
「そう……」
ティナが少し悲しそうな表情をしているが、気のせいだと思いたい。
もしかすると元々あんなじゃじゃ馬な笛じゃなく、いうことをきちんと聞く笛だったのだろうか。
何はともあれドラゴンゾンビは消え、ダンジョンの出口が現れた。
「とりあえず帰ろうか!」
「うん……」
「おー……」
何故だか帰りは2人の元気がなかった気がする。
その後、最高の
——
いつもご覧いただきありがとうございます!
おかげさまで異世界週間二桁です!
ハートブクマ星重ねてなりますが本当にありがとうございます!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます