コロシアム出場の誘い
ミストリナ帝国付近の町からミストリナ帝国の帝都までは大したトラブルもなく、無事に辿り着くことができた。
「では私は会議へと赴きます。2日ほどかかりますのでその間は自由にお過ごしください」
護衛というのは行きも帰りもセットだ。
つまりアルメリアが会議へと出ている間は自由時間ができる。
「アルフレッドとティナはどうする?」
「僕は帝都で名のある鍛冶屋に剣を依頼した後、観光をしようかと」
「私はマスターについて行く」
「ちょっとなんで私には聞かないのよ!」
「だってメアリーは僕達と行動するのは嫌かなって」
「そんなことないわよ……」
「メアリーはアルフレッドと一緒に帝都観光をしてくるといい。アルフレッドは帝都に詳しい」
「ふむ。そうですね。僕としては大丈夫ですよ」
「……わかった。【剣聖】についていくわ」
意外にも素直にティナの言うことを聞くメアリーの様子を見て僕は少し不思議に思う。
今までだったら最高の
◆◆◆
「それでマスターはどこに行く?」
アルフレッド達と別れた僕とティナは行く場所を考えていた。
帝都には有名なものが沢山ある。
それこそ美味しい食べ物を沢山食べるのもいいとは思う。
けれど帝都には1つ冒険者達にはとても魅力的に写るものがある。
「んー折角帝都にきたんだしコロシアムとかどうかな」
「珍しい。マスターはいつもそういう野蛮なものは避けるのに」
「たまには見たくなるの」
「……まあマスターがそういうなら」
またティナが変に深読みをしている気がするが気のせいということにして僕達はコロシアムへと向かった。
◆◆◆
「すごい熱気」
コロシアムについた僕達を歓迎したのは選手を包む観客達の熱気だ。
帝都のコロシアムは非常に単純で選手が死なない程度に本気で戦い、金を賭ける。
要するに賭博場だ。
「【慧眼の担い手】様ですかな?」
不意に後ろから声をかけられる。
振り向いた僕の目に映るったのは初老のおじいさんだった。
僕の2つ名を知ってる人はセストリア王国の要人とその近辺の人だけ。
つまりこの人もそれなりの地位の人ということだ。
「どなたですか?」
「マスターこの人は……」
「ティナわしは自己紹介ぐらい自分でできるぞ。そこまで老いぼれたつもりもない」
「それは失礼しました」
「分かれば良い。それでわしが誰か、じゃったか。わしはデズ教会教皇補佐ケインですじゃ」
デズ教会教皇補佐。
ということは教皇の娘であるティナとは跡取りを争うライバルのようなものか。
「それでその教皇補佐様が何の御用で?」
「【慧眼の担い手】様のお力をお試しさせていただきたく。コロシアムへ出てくれませぬか?」
普段なら絶対にお断りだが、ティナの信用も関わっている手前断りにくい。
僕が1人になってから声をかけなかったのはそういう理由だろう。
僕がここでサクッと負けたらティナの信頼が落ち、自分の次期教皇の座が固くなる。
逆に僕が勝っても僕の実力が証明されるだけでこちら側に得が何もない。
「中々食えない人ですね」
「はてさて何のことやら」
受けるか受けないか。
受けたら僕は確実に負ける。
だって弱いから。
だけど受けなかったらティナのセストリア王国での地位と信頼は落ちる。
「マスター無理に受ける必要はない。私のことなら心配しないでも……。それにマスターは……その、弱い」
確かにティナの言うことは一理ある。
だからこそ僕は心底悩んでいた。
出るべきか出ないべきか。
いやでもやっぱりここは……。
————
異世界日間30位付近でびっくりしました。
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