銀灰の英雄2
「……それは急に冒険者を辞めたことに対してか?」
サラにも心当たりがあるのかすぐには返事が来ない。
僕としてはどちらに対する質問であったとしても回答を用意している。
早いか遅いかただそれだけの問題だ。
「今はそうかな。レオンは私の冒険者としてのサポートを沢山してくれたし、その……小さい時の約束もあったから……」
「僕は別に気にしてないよ。サラが自分の意志で辞めようと決めたのならそれは君の選択だ。約束だって僕がサラについていけなくなった時点でなくなったも同然だしね」
「それは……」
僕とサラは絶対にもう同じ道を歩めない。
ただ実力が違いすぎるだけではなく、僕とサラの関係性はサラが僕をパーティーから捨てた時に確実に壊れた。
僕がサラを支援していたのだって【銀灰の英雄】を影から支える為だ。
「でも私はまたレオンとやり直したい」
「無理だよ。サラが1番わかってるだろ? 僕には剣の才能も魔法の才能もない。ギルドマスターの地位だって君の【銀灰の英雄】のおこぼれだ」
「でもさっきの【聖女】の子とは仲良さそうにできてじゃない……」
「サラ……そうじゃないんだ……。君は何か重大な勘違いをしてるよ」
サラは勘違いをしている。
別に僕とティナの仲が良く見えるのは単純にティナが僕というか、ギルドマスターという地位に懐いてるだけだ。
僕はティナをSランク冒険者でサラと同じ様に僕とは同じ道を歩くことはできないとそう確信している。
見えている世界の違う人達はその人達で道を歩むべきだ。
僕みたいな平凡な人間は平凡な人生をただ真っ直ぐに歩めばいい。
「勘違い?」
「うん。だって別に僕は誰とも同じ道を歩めるとは思っていないよ。僕は平凡だ。そんな人間がどうしてSランク冒険者達と同じ目線で生きていけるんだい? それは傲慢だと思わない?」
「それは……でもレオンは最高の
「さっきもちゃんと言ったじゃないか。この地位も所詮は【銀灰の英雄】のおこぼれでしかないんだよ。僕が努力をして勝ち取ったわけじゃない。ただ君の実績が認められてたまたま僕が君の元パーティーメンバーだった。それだけだよ」
狂っていると言われても別に構わない。
僕の価値観はサラに捨てられた時から曲がってしまったのも事実だ。
「僕とサラは決定的に違ったんだよ。それこそ生まれた時から。話は終わりでいいかな? 書類仕事が残ってるんだ」
僕は一方的に話を切り上げ、サラをその場に残してギルドハウスへと戻っていった。
———
序盤なのに話が重くてすいません…。
ブクマ星ハートいつもありがとうございます!
久しぶりに投稿したのに皆さんが読んでくださっていて本当に嬉しいです!
気分が乗ればもう一回夜に投稿します。
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