第23話 告げられた思いと高鳴る鼓動

諦めていた恋愛感情が再び芽生えてからは、詩花は蓮と視線が合う度に目を逸らした。

「詩花ちゃん顔赤くない?」「大丈夫?保健室行く?」とクラスメイトが話しかければ「大丈夫大丈夫。ありがとう」と笑みを浮かべながら告げた。

その様子を見ていた蓮は詩花達に近寄り「悪い。ちょっと詩花借りていいか?」とクラスメイト達に問いかけた。詩花はその言葉に瞬きしながらクラスメイト達を見つめるもクラスメイト達は笑みを浮かべながら頷いた。蓮は詩花の手を握ったあと歩き出せば詩花は慌てて杖を持ち「い……行ってくる!」と告げて歩き出した。



ガチャリと音を立ててドアを開けた場所は屋上だった。詩花は瞬きしながら「えっと……蓮くん?どうかしたの?」と蓮に問いかけた。蓮は少し息を吐いたあと「詩花。返事はすぐじゃなくていいから聞いて欲しいことがある」と告げた。

詩花は頷き蓮の方を向いた。目を逸らさず、真っ直ぐと蓮を見つめた。詩花を軽く見つめたあと蓮はゆっくり口を開いた。「俺さ、詩花が転校してきた時最初は“杖ついてるし大変そうだなー”って軽い気持ちで見てたんだ。でも違った。詩花はそんなの全然見せなくて、クラスのヤツらとすぐ仲良くなってるし明るいし。気づいたら目が離せなくなってた…多分…いやその時なんだ。初めて詩花が好きだって分かったのが」蓮から伝えられる言葉がまるで詩花の心に雪のように積もって溶けていった。蓮は続けて「俺、詩花が好きなんだ。こんな俺だけど付き合って欲しい……返事は今じゃなくていい。もちろん嫌なら断ってくれてもいいから……」と告げた。詩花はこくりと頷き「少し……少しだけ考えさせて欲しい……」と告げた。その言葉を聞いた蓮は頷いたあと「分かった……でも俺諦めるつもりないから。何度でも詩花に好きだって伝えるから」と告げてそのまま屋上を出ていった。残された詩花は顔を真っ赤にさせ「ど……どうしよう……」と呟いた。

詩花の考える余裕もなく始業を知らせるチャイムが鳴り響けば詩花も慌てて教室へ戻った。高鳴る鼓動を誤魔化すために少し早く歩き赤くなった顔も「少し急いだから」とクラスメイト達に誤魔化すために。

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