第7話 放課後

賑やかな昼休みも終わり午後の授業を受ければあっという間に放課後になった。部活に行く者、そのまま帰る者、教室で話し続けてる者などクラスメイト達は自由にしていた。

「あれ詩花ちゃん帰るの?」「なんか用事?」とクラスメイトの数名が言えば詩花は「うんごめんね。今日お母さん遅いから夕飯の用意しないとなの」と答えた。その言葉にクラスメイトは「そっかー」「気をつけてね!」「また明日ー」と告げた。

詩花は手を振ってその場を後にすれば靴を履き替え杖をつきながら道を歩いていた。


詩花はふと路地裏に目を向けた。「……また見える……」小さく呟いた先には人ならざるもの。所謂いわゆる幽霊や怪異、魔と言われるものが居た。詩花はそれらを軽く見たあと何事も無かったかのようにまた歩き出した。前の学校…月ケ丘学園での事を思い出し小さくため息を吐いた。

「無視していれば大丈夫……もう失敗しない……」

詩花は小さく呟いたあと家のドアを開けた。


「ただいま……って今誰も居ないけどね」玄関先で独り言のように言えば服を着替えリビングのソファーでくつろいでいた。するとカタンと小さな物音がした。詩花はそれに目を向けると路地裏で見たものが家の中に居た。「大丈夫……大丈夫……」と小さく呟きながら詩花は目を瞑りそれを視界に入れないようにした。しかしそれは詩花に気づくと『ミエテル?』『ミテル?』『コッチミタ?』と詩花に聞き取れるような言葉で話しかけた。その声を聞く度に詩花は肩を震わせながら必死に声を出さないようにしていた。その反応を見たそれは『ミエテナイ』『ミテナイ』と呟いたあと消えていった。それと同時にドアが開く音がして詩花は顔を上げた。「ただいまー」と言う母の声が聞こえ詩花は心底安心した表情を浮かべ壁をつたいながら玄関まで行き「おかえりお母さん。」と笑みを浮かべながら言った。

「ただいま詩花。新しい学校はどう?」

「楽しいよ。友達も出来たし……先生達も足のこと気にかけてくれる」

「そう……良かった。これからもっと楽しくなると良いわね」

「うん。そうだねお母さん」そういったやり取りをしながら詩花は母親と夕飯の準備を始めた。

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