第9話 友達

次の日、詩花はそっと目を覚ましリビングに向かった。リビングからは母の作る朝食の匂いに笑みを浮かべ「おはようお母さん。お父さん」と告げた。両親はその声に気づき「「おはよう詩花」」と笑みを浮かべながら言った。

朝食を食べ終え、制服に着替え終えれば靴を履き詩花は学校へ向かった。『今日は何も見えませんように』と祈りながら。


学校へ着いた詩花はクラスメイトの姿に気が付き「お……おはよう!」と声をかけた。声をかけられたクラスメイトの数人は「おっ皇じゃんはよー」「詩花ちゃんおはよー」と返した。その言葉に詩花は嬉しそうに笑みを浮かべれば「一緒に教室行かない?」と問いかければクラスメイト達は頷き歩き出した。「今日一限なんだっけ?」「えーっと……化学?」「げっ俺今日当たるんだった!」とクラスメイト達の会話を聞きながら「私化学苦手かも……」と詩花が言えば「詩花ちゃん化学苦手なの?私も苦手ー」とクラスメイトは笑いながら言った。


ガラッと音を出しながらドアを開けながらクラスメイト達と一緒に教室に入れば詩花は席に着いたあとキョロキョロと周りを見回したあと「あれ……杠葉くんは?」と自分の前の席の人に問いかけた。「杠葉?あいついつも遅刻ギリギリだよ。なんか用事あった?」と言われれば「昨日ジュース貰ったからお礼言いたくて。教えてくれてありがとう」と詩花は言ったあと窓の外を見つめた。その時、バタバタと廊下を走る音が聞こえた瞬間勢いよくドアが開いた。

「セー……フ?」

「セーフセーフ!まだ担任来てねぇぞー」

「その担任に捕まってたんだよwww」と少し汗をかいた蓮がクラスメイト達と話しながら席に着いた。「お……おはよう杠葉くん」と詩花が声をかければ「おう。おはよ皇」とニッと笑みを浮かべながら言った。

「そうだ昨日ジュースありがとう。嬉しかった」と詩花は笑みを浮かべながら言えば蓮は詩花の頭をわしゃわしゃと撫で「どういたしまして!」と笑みを浮かべながら言った。撫でられた詩花は瞬きをしたあと少し乱れた髪を整え少しだけ赤くなった顔を隠すようにまた窓の方を向いた。

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