第10話 恋の話

苦手な教科や移動教室も終わりあっという間に昼食の時間になった。詩花はいつも通りクラスメイト達と昼食を食べていた。すると1人が「ねぇ詩花ちゃんって前の学校で好きな人とかいたの?」と問いかけてきた。詩花は瞬きをした後笑みを浮かべ「んーん。居なかったよ。ほら足がこれだし……」と告げればクラスメイト達は「そんなの気にしなくていいのに!」「そうだよ!というかそんな事言う人が居るなんて最低!」と口々に言った。

「あはは……そういう皆は居るの?好きな人」と詩花が問いかければ「私は居るよ誰かは言わないけど」と言う人や「んー暫く恋愛はいいや。部活の方も忙しいし」という人「そもそも恋に興味無いなー」と笑いながら言う人など様々な回答が返ってきた。「そういや詩花ちゃん杠葉にお礼言えた?」と1人が問いかければ詩花はこくりと頷きながら、「言えた……けど」と言葉を少し詰まらせた。

「けど?どうかした?」

「あ……頭撫でられて……」

「頭撫でられた!?杠葉に!?」

「しー!声が大きいよ……!」と詩花は少しだけ顔を赤くさせながら言った。クラスメイト達はニコニコと笑みを浮かべながら「ねぇ詩花ちゃん。杠葉に頭撫でられてどう思った?」と問いかけた。詩花は瞬きしたあと考えた。頭を撫でられるのは両親以外で初めてだった。初めての経験を思い出せば撫でられた頭にそっと触れたあと「……嬉しかった……かも。」と小さな声で言った。その反応にクラスメイト達は「きゃー!」「詩花ちゃん可愛いっ…!」など様々な反応をしていた。

「詩花ちゃん杠葉のこと好き?」とクラスメイトの1人が問いかけた。詩花はその言葉に顔をぼっと赤くさせたあと「で…でも杠葉くんは友達だし……」と告げればクラスメイト達は「んー……まだまだ準備期間かな」と笑いながら言った。

「も……もうこの話は終わり!ほら早く食べないと午後の授業の準備間に合わないよ!」と詩花は誤魔化すように言えば昼食を急いで食べれば顔の熱をさます様に手で顔を扇いだあと小さく息を吐き

『これが好きって気持ちなら私はこの気持ちを隠してこの気持ちを殺さなきゃいけない。私は恋なんて出来ないから…』と思っていた。

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