第3話 学校案内

自己紹介が終われば詩花の周りにはクラスメイトが集まった。「部活してた?」「好きな物は?」など定番の質問にも詩花はいやな顔もせず笑顔を浮かべながら「部活は美術部に入ってたよ。」「好きな物は……本読むのが好きかな。あとは甘いものが好き」と答えていれば蓮が一言「悪い。皇借りてくわ。学校案内頼まれてんだよね」と告げて立ち上がった。詩花も続くように「ごめんなさいまた後でね。」と告げ杖を持ち追いかけるように歩いた。


「んで最後がここ屋上な。」

「わー……風が気持ちいい……案内してくれてありがとう杠葉君。」と笑みを浮かべながら告げた。蓮は詩花がついている杖に目を向けた。

「なぁ皇。お前足悪いの?」

「……悪いって言うよりこっち義足なんだ。」

「……悪い」

「気にしないで。もう慣れてるし……そろそろ教室戻らないと怒られちゃうよ杠葉君」と笑みを浮かべながら言えば詩花は歩き出した。


教室に戻ってこればザワザワと賑わう声が響いていた。「あっ皇さんおかえりー」「こいつちゃんと学校案内出来てた?」とクラスメイトからの声が飛んできた。蓮は「おいこらどーゆー意味だ」とクラスメイトとじゃれながら言った。「分かりやすく案内してくれたし歩幅も合わせてくれたよ」と詩花はくすくすと笑いながら言った。そこへ教師が教室へ入ってきた。「お前らチャイム鳴ったぞ。席つけー」

その言葉に喋りながらクラスメイト達は席に着いた。 詩花にとって聖蘭学院での初めての授業が始まった。

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