第4話 初授業開始

詩花にとって聖蘭学院での初めての授業が始まった。初めての授業は数学だった。「じゃあ教科書の20ページ開いて……皇は教科書あるか?」と教師からの問いかけに「昨日のうちに家に届いたのであります。」と答えた。教師は「そうか」と短く答え黒板に数式を書き始めた。

「じゃあこの問題を……杠葉。」と数式を書き終えた教師は蓮を指名した。蓮は露骨に嫌そうな表情を浮かべ「まじっすか……せんせー俺が数学嫌いなの知ってんじゃん!他のやつにしてよー」と文句を言いつつも前に出て問題を解き始めた。が、途中で手が止まり「……せんせーやっぱ無理っす」と告げれば教室はくすくすと笑いが起きた。「全くしょうがないな……皇!続き解けるか?」と教師は問いかけた。「は……はい。」と頷きながら返事をすれば立ち上がった。

「皇さん気をつけてね。」

「うんありがとう」

とクラスメイトとやり取りをすれば黒板の前に立った。詩花は少し悩んだあと答えを書いていった。

「正解だ。よく出来たな皇」と答えを書き終えた詩花に教室は告げた。

「さんきゅー皇助かった。」

「どういたしまして。数学は好きだったから」と席に戻った詩花は蓮と話しながら授業を聞いていた。

「あとは次回までの課題なー。杠葉ー次回当てるから答えられるようにしとけよー」と教師が告げたあと終業のチャイムが鳴った。日直の「起立、礼」の号令で生徒たちが挨拶をしたあと休み時間の教室はまた騒がしくなった。

「皇さん次移動教室だよ!一緒に行こ!」

「う……うん!次って……」

「美術!皇さんの描く絵楽しみだなぁ」とクラスメイトの女子数名と話しながら詩花は美術室に向かった。

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