第2話 季節外れの転校生


コツコツと杖のつく音を響かせながら少女……皇 詩花すめらぎ うたは転校先である 聖蘭学院せいらんがくいんに向かって足を進めていた。


「……クラスの人と仲良くなれるといいけど」

詩花は小さく呟き目的である聖蘭学院に着いた。


季節外れの転校生が来ると知った教室は転校生の事で賑わっていた。「聞いたか?転校生の事!」「女の子らしいぞ」と男子が騒ぐ声や「可愛い子ならいいよね。」「仲良くなれるかな?」と女子たちの声で教室は賑わっていた。すると担任がドアを開ければ教室は一瞬静かになった。

「おら座れー。転校生紹介するから」その一言で生徒達は急いで自分の席に座り期待に満ちた目線をしていた。それを見た担任は1つ息を吐いた後「皇。入ってこい」と短く告げた。 詩花は小さく「はい」

と返事をしてドアを開けた。詩花の姿を見た生徒たちからはザワザワと声が出た。詩花はそれに対して気にもせず「月ケ丘学園つきがおかがくえんから来ました皇 詩花ですどうぞよろしく」と小さく笑みを浮かべながら告げた。

「皇の席は……杠葉の隣だ。杠葉ー手上げろー」と担任が言ったあと男子生徒のひとりがそっと手を挙げた。詩花は男子生徒……杠葉 蓮の隣に行けば「よろしくね」と告げて席に座った。「俺、杠葉 蓮よろしくな」と蓮はニッと笑みを浮かべながら告げた。




これが詩花と蓮が初めて話した瞬間だった。

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