Another story9〜文化祭本番編4〜
舞台袖へと戻った詩花は小さく息を吐き少しほっとした様な表情を浮かべていた。
「詩花ちゃんお疲れ様!すっごく良かったよ!」
「ほんとほんと!」
「あ……ありがとう上手く出来て良かった……」
詩花は小さく笑みを浮かべながらそう告げればそっと舞台上へ視線を向けた。そこにはスポットライトが当てられキラキラと光る蓮の姿があった。詩花は小さく「かっこいいな……」と呟けばクラスメイト達は「詩花ちゃん何か言った?」と問いかけた。詩花は慌てて首を振り次の衣装へ着替えるために奥の部屋へと向かった。
「次は王子様がシンデレラを探すシーンでもうひとつの見せ場!詩花ちゃん頑張って!」
クラスメイトの言葉に詩花はこくりと頷きもう一度舞台へと上がった。
「ねぇ聞いた?王子様がこの間の舞踏会で踊った女の子を探しているって!」
「もちろん!確かその人ガラスの靴を落として行ったらしいわよ」
「お前たち、王子はそのガラスの靴がピッタリ合う人を妃に迎えるとのことよ。もうじきこの屋敷にもいらっしゃるわ。シンデレラ、一応貴女も靴合わせに参加なさい」
「……分かりましたお母様。」
「シンデレラに合う訳ないわよお母様!」
「だって舞踏会に参加してないもの」
そんなセリフが続いたあと王子役の蓮が出てきた。
「王子様、ようこそいらっしゃいました歓迎いたしますわ」
「こんにちはマダム。街での事はご存知ですね?」
「えぇ。娘たちも待ちわびておりましたわ。どうぞこちらへ」
クラスメイト達がガラスの靴を試すも入らず悔しそうにする中、詩花の番がやってきた。
「そちらのレディもよろしいですか?」と蓮がそう問いかければ詩花は「はい王子様」と答えそっと足をガラスの靴へと滑り込ませた。
詩花のその足はガラスの靴にピッタリとはまり蓮と詩花は顔を合わせて笑みを浮かべた。
「貴女があの夜のレディでしたか……レディ名前を聞いても?」
詩花は少し息を吐いたあととびきりの笑みを浮かべ「私は……私の名前はシンデレラです王子様」と答えてみせた。
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