第22話 少しの緊張、そして再び恋愛感情の芽生え
次の日詩花はゆっくりと目を覚まし制服に着替え、リビングへと向かった。
「おはよう詩花。」
「おはようお母さん。お父さん」
そういったやり取りをしながら朝食を食べていればピコンと詩花のスマホが鳴った。詩花は首を傾げたあと表示されたメッセージを見て驚いた顔をしていた。そこには『おはよ詩花。迎えに行くから一緒に行こ』と蓮からのメッセージがあった。詩花は少し悩んだあと『うん。待ってる』と連絡を入れ早めに朝食を食べ終えた。
暫くしてインターホンが音を立てた後「詩花ー迎えに来たぞー」と蓮の声が響いた。その声を聞けば詩花は顔を少し赤くさせながら玄関に向かい母に「行ってきます……!」と告げてドアを開けた。
「お……おはよう蓮くん。」
「……おう。行こうぜ」そんなやり取りをしていると後ろからお調子者のクラスメイトが「蓮おはよーって皇!?」「なにお前ら付き合ってんの!?」「なー皇教えろよ!」など騒ぎはじめた。詩花は目を逸らし何も言わないでいると「お前らうるせぇよ。茶化したいだけなら引っ込んでろ」と蓮がクラスメイト達を睨みつけ告げた。その言葉にクラスメイト達は一瞬怯み、それを見た蓮は「……行こうぜ詩花。遅刻する」と言えば詩花は頷きそのまま歩き始めた。
学校へ着けば昨日休んだ詩花を心配し、クラスメイトの女子達が詩花へ駆け寄り「おはよう詩花ちゃん」「もう体調大丈夫なの?」「あっ昨日のノート見るよね!後で貸してあげるね」と告げてきた。詩花は「ありがとう。もう大丈夫だよ」と笑みを浮かべながら教室へ向かった。
教室では先程のお調子者のクラスメイト達が「皇と蓮って付き合ってるかもしれない」「朝一緒に登校してた」などと他のクラスメイト達に告げていた。その会話を聞いた蓮は「お前らなぁ……詩花と登校してたのは俺が誘ったから。」と呆れながら告げた。その言葉にクラスメイトは「ちょっと待てお前今皇の事名前で呼んだ?」と問いかければ蓮は頷き「名前で呼んでいいか許可もとったし詩花も俺の事名前で呼んでるからおかしい事無いだろ?」と笑いながら言った。詩花はその言葉に少し顔を赤くさせながら席につき、近くの席のクラスメイト達と話していた。目の端で蓮の姿を見て慌てて目を逸らせばクラスメイト達に「どうかした?」と聞かれぶんぶんと首を振り「なんでもないよ」と笑みを浮かべながら告げた。
それは、詩花の中に諦めていた蓮への恋愛感情が再び芽生えた瞬間でもあった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます