第21話 初めての休みと誤解が解けた日
次の日、詩花はいつも通り学校へ行こうと起き上がった。しかし、ベッドから出ることが出来ずにいた。「……行きたくないな」ベッドの上で呟けば部屋のドアがノックされた。「詩花、起きてる?そろそろ用意しないと遅刻するわよ」ノックの音の後、母の声が聞こえた。その言葉に詩花は悩んだ後ドアを開け「お母さん……今日だけでいいから休みたいんだけど……」と詩花は母に告げた。
「学校で何かあったの?」と母は心配そうに問いかければ詩花は小さく頷いたあと「……うん少し……休んじゃダメかな……?」と詩花は少し不安そうに問いかければ母は笑みを浮かべ「良いわよ。後でご飯食べにいらっしゃい」と告げてリビングへと向かった。詩花はそれを見送ったあと友達に『ごめんね今日ちょっと休むね』と連絡を入れベッドにまた寝転んだ。
「明日は行かないと……」詩花は小さく呟いたあとそっと目を瞑った。
数時間後、詩花はそっと目を開き部屋を見渡し、壁に掛けてある時計をちらりと見て「もうこんな時間……そろそろ起きなきゃ」と呟きベッドから出た。
「おはよう詩花。よく眠れた?」
「うん……おはようお母さん。今日お仕事は?」
「今日はお休み。2人でのんびりしましょう」
「……うん」と笑みを浮かべながら頷けば詩花は遅めの朝食を食べ、母と2人でテレビを見ながら過ごしていた。
暫くして、昼食を食べている最中にインターホンが音を立てた。詩花は「私が見るよ」と告げて立ち上がりインターホンを覗いてみると目を見開き「……なんで」と呟いた。そこには蓮が立っていた。
その様子を見た母は「あら、詩花のお友達じゃない。行ってきなさい」と告げ、詩花を玄関へと連れて行った。
ガチャリと音を立てドアを開け詩花は蓮を見つめたあと「……どうしたの杠葉くん。」と少しひきつった笑みを浮かべながら問いかければ蓮はバッと頭を下げ「悪かった」と告げた。その言葉に詩花は目を開いたあと、「……なんで謝るの」と続けて問いかけた。「あの時ちゃんと言ってやれなかった。あいつらの悪ノリに付き合ってしまった。」と蓮は頭を下げながら告げた。その様子に詩花は瞬きしたあと小さく笑みを浮かべ「……いいよ。気にしてないから」と告げれば蓮は顔をそっと上げ、「本当に悪かった……なぁまた名前で呼んで欲しいんだけど……ダメか?」と問いかけた。詩花はその言葉に少し悩んだあとそっと頷いた。
「なぁ、明日は学校……」
「行くよ。大丈夫。心配かけてごめんね……蓮くん。」
「……!おう。」そういったやり取りをした後、蓮はもう一度「悪かった」と告げたあと帰り際に「また明日な……詩花」と言って帰っていった。残された詩花は名前で呼ばれたことに瞬きしたあと顔を赤くさせ「……名前で呼ぶとか……意味わかんない……」と呟いてリビングへと戻った。
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