第14話 恋はしない
音楽の時間も終わり午前の授業を全て終えれば詩花とクラスメイト達は屋上に来ていた。「詩花ちゃんの歌声めちゃくちゃ綺麗だったね」「ほんとほんと!びっくりしちゃった」と言われれば詩花は「そうかな……そう言われるの初めてだから嬉しい。」と笑みを浮かべながら言った。昨日カラオケに行った人達は「私達は先に聞いたもんね」「そうそう!」と自慢するように話した。詩花はその言葉に照れくさそうにしながらもパンを1口かじった。
「そういや詩花ちゃん杠葉になんかされた?」
「へ……!?なんで……?」
「だって詩花ちゃん杠葉見たあと顔赤くしてたし」とクラスメイトからの指摘に瞬きしたあと「な……何もされてないよ……多分」と誤魔化すように告げた。
「詩花ちゃんもしかして……杠葉のこと好きなの?」とクラスメイトからの問いかけに詩花は目を見開きふるふると首を振り「そ……そんなことないよ!」と慌てて否定した。その様子にクラスメイトは「もしかしてまだ転校してきて日が浅いからって思ってる?」と問いかけた。詩花はその言葉に頷くも「でも私……恋はしないって決めてるから」と告げた。その言葉を聞いたクラスメイトは「勿体ないよ!」「そうだよ詩花ちゃん可愛いし!」と言った。その言葉を聞いた詩花は少し困ったような表情を浮かべたあと「か……考えとくね」と告げてクラスメイト達と教室に戻った。
午後の授業を受けながら考えていた事は前の学校での事だった。前の学校では周りと同じように恋もしていた。だが、好きだった人に言われたある言葉がずっと引っかかって詩花の心にずっと残っていた。
『忘れなきゃいけないのに忘れられない。だから私はもう……好きな人は作らないし恋なんてしない……』そう思いながら詩花は午後の授業へと意識を戻した。隣の……蓮からの視線に気づいていて気づかないふりをしながら。
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