第11話 恋心…?
午後の授業中、詩花はなかなか集中出来ずにいた。クラスメイトの言葉がずっと頭に残っていた。
「皇!聞いてるのか!」現代文の教師に呼ばれれば詩花は意識を黒板に戻した。「皇。この問題解けるか?」と教師の問いかけに立ち上がり「は……はい!」と答えゆっくり歩きながら黒板へ向かった。カッカッとチョークを響かせながら詩花は問題を解いていく。解き終えればそっとチョークを置いた。「うん。正解だ。次からはちゃんと授業を聞くように」と教師の言葉に頷いたあと席に戻った。
休み時間、詩花はクラスメイト達に囲まれていた。
「詩花ちゃんもしかして具合悪かった?」「保健室行く?」など詩花を心配するような言葉に詩花はぶんぶんと首を横に振り「大丈夫!ちょっとぼーっとしちゃってただけだから。心配かけてごめんね」と笑みを浮かべながら告げればクラスメイト達は安心した表情を浮かべたあと席に戻って行った。すると蓮が横から話しかけてきた。蓮は笑いながら
「へー皇も授業中ぼーっとする事あるんだなw」
「き……今日はたまたまだよ。」
「ふーん?あの先生怒るとめちゃくちゃ怖いから気をつけろよー?w」と告げた。
『集中出来ないの杠葉くんのせいなんだけど』と詩花は思うが何も言わずこくりと頷き「気をつけるよ。ありがとう杠葉くん。」と告げた。
帰りのホームルームも終わり放課後になれば今日はどうしようかと悩んでいるとクラスメイト数人と蓮が声をかけてきた。
「皇、今日こいつらと遊び行くけど一緒に行くか?」
「どこに行くの?」
「カラオケ!詩花ちゃんも一緒に行こうよ!」とクラスメイトと蓮の言葉に少し悩んだあと「お母さんに相談してみていいかな?」と問いかければ蓮達は頷いた。その様子を見たあと詩花はスマホを取りだし電話をかけた。
「もしもしお母さん?私だけど……」
《詩花?どうかしたの?》
「今日友達とカラオケに行きたいんだけど……行ってもいい?」
《もちろんよ!帰る時は連絡しなさいね。迎えに行くから》
「うん分かったじゃあね」と告げたあと笑みを浮かべ小さく頷いてみせた。その様子にクラスメイト達は嬉しそうに「やった!早く行こ!」と告げれば歩き出した。詩花にとって初めての友達との寄り道に心躍らせていれば蓮が「皇カバン貸せよ。持つから」と告げて詩花のカバンを持った。詩花は瞬きしたあと「あ……ありがとう杠葉くん」と告げてクラスメイト達を追いかけるように、そして少し早く脈打つ鼓動を誤魔化すように歩き始めた。
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