第34話・捻れ愛

サニーンが手に入れた神授魔力は”アポローン”と呼ばれるもので、弱点を可視化出来る能力とサニーンは思っていたが、真の力の使い方にサニーンは気付いた。ロックオンマークの色に数種類あって色によって特徴がある事に気付いたのだった。瘴気魔神と魔物の群れと戦った際は赤色、寝ている時のレフトを見ると黒色、アスモ?の方を見ると黄色で序に、眩しく光っている円と怪しく光っている円がサニーンの目には見えていた。サニーンの神授魔力は”光明”の力であり、力について理解を深める程、サニーンを褒める程サニーンの魔力が高まって、光り輝くと”あくまで”サニーンがそういう能力だと解釈していた。


アスモ?はサニーンが放った矢を片手で捕まえようと思ったが、捕まえようとした右手を避けてサニーンの思い通り頭上に直撃した。血が飛び散り即死かと思えたが、血は飛び散る訳ではなく、アスモ?の思考を止める結果となって、一切体が動かなくなって頭上には魔力が込められた印が描かれていた。今のアスモ?の状態はどんな状態なのかレフトはサニーンに確認しようとしたが、腰に手を当てて勝ち誇っていた。レフトはそれをノーリアクションで受け流してグレアスの元に急いで駆け寄って既に治療を進めていたシールディアに状況を確認した。シールディアによると、シールディアの光を利用して心臓治療を行っていて、完治するまでは数日掛かる上、治療中一切シールディアは攻撃や移動は出来ず、完治後はシールディアが最低三日は眠り続ける可能性がある事をレフトに告げた。


レフトはグレアスの事はシールディアに任せる事にして、今度はアスモ?の今の状態についてデスボダに意見を求めたが、デスボダはアスモ?をただ見つめてるだけで何かブツブツ言ってるようで何を言ってるのかもっと近づいて耳を傾けてみると

「嘘だ 嘘だ……」

どういう意味かレフトは考えていると、アスモ?は急に我に返ると、魔力を込めた双剣でレフトに向けて振るった。レフトは自分の剣で受けようとしたが、魔力切れで顔にあった「L」の文字は消えて大剣は普通のサイズの剣に戻っていった。状況が不味いと察したサニーンが弓を構えたのを確認したアスモ?は今度はサニーンに狙いを定めて、攻撃しようとしたが、頭を抱えて苦しみ出した。暫く様子見かとレフトは思ったが、サニーンは弓を構えてもう一度アスモ?の頭上目掛けて矢を放った。しかし、今度は矢が頭上に触れた瞬間に矢は破壊されてサニーンは面食らっていた。


「とんだ茶番はもういい。 父さん」

デスボダはアスモ?の目を見てそう言った。言ってる意味が分からないでいると、頭を抱えて苦しんでいたアスモ?は立ち上がって昔話をし始めた。




デスボダの実の父であるノナムは、スネクダのアジトでコントペウとヨヨアを、UNOを利用した攻撃で大きなダメージを与えた後、寂れた街にある行きつけの酒場を訪れた。マスターに一番気に入っている酒を注文してグラスに注いで貰って一口飲んでいるとヤズパも来店してノナムの隣に座った。マスターは奥の部屋に行ってノナムは飲んでいる酒と同じものをヤズパの所に用意されたグラスに注いだ。

ヤズパは一口飲む事なく、話を切り出した。

「死人予定者から酒は要らない。 洗いざらい話して貰おうか」

ヤズパはグラスの縁を一周して撫でると、グラスは派手に破壊されて、グラスの破片がノナムに飛び散って、体中に刺さって至る所に流血箇所が見られたが、涼しい顔でグラスに残った酒を一気飲みすると直ぐ立ち上がって酒場のドアノブに手を掛けるが、ヤズパは鋭い爪を飛ばしてノナムの手に向けて飛ばすが、ノナムの手には刺さったものの、ノナムにとってはノーダメージと等しく、酒場のドアを開けて酒場を後にしてスキップして逃げたが、余裕でヤズパは追い越して追撃を図ろうとしたが、ノナムはポケットからカードを取り出して魔力を込めようとしたのを見逃さなかったヤズパは自身の心臓を早めて濃い闇を外部に放出させてノナムの視界を奪うのと同時に動きを封じた。


「流石にこのレベルの闇には耐性は無いと」

ヤズパは鋭い爪で自分の腕にメモを取ると、ノナムを始末する為の術式の構築に取り掛かっていると一枚のカードがヤズパの頭上目掛けて飛んできた。ヤズパはそれを頭に触れる寸前で片手で受け止めた。ヤズパは濃い闇から脱してくるノナムを待っていたが、現れたのはノナムではなく長髪の女性で、体の右半分骨が露出してあり、ヤズパと目が合うなり左目でウインクした。




ヤズパは一人の女性に花束をプレゼントした。その女性は受け取ってそれを別の男に手渡した。花束を受け取った男は地べたに投げ捨てて、足で強く踏み付けた。二人は楽しげに会話をしながらヤズパからどんどん離れていった。自分の何が悪いのか。それとも自分が愛した相手が悪いのか。答えは否、奪った男が悪い事に答えが落ち着いたヤズパはその男を殺す準備に取り掛かった。


男の情報を洗いざらい調べ上げた上、殺す計画を練っていると女性がヤズパの隣に座って男を殺す事を諦めるよう説得しに来たと思えたが、女性はヤズパの頬にキスをした。どういう事かヤズパは理解出来ないまま女性はいなくなって、その晩男を殺す事に悩んだ。もしかしたら男を騙して自分の所にやってくるのではないか。そう考えていると、真横から一枚のカードが飛んできた。それをヤズパは片手で受け止める事は出来たが、カードには血が付着していた。どういう事なのかとカードが飛んできた先を見てみると、男がカードの束を切っていてヤズパと目が合うなり、笑みを浮かべた。

ヤズパはその笑みとカードに付着していた血から状況を察したヤズパは頭に血が上がると戦闘態勢に入った。それを察した男はカードを巻き散らした。一つ一つのカードには魔力が込められていてヤズパはそれを見て、相手が魔力を使えてスネクダの人間じゃない事に勝ちを確信したのも束の間、カードに込められた魔力がどんどん減っていくのに違和感を覚えたヤズパだったが、もう遅くて男は舞ったカードに紛れてその場にいなくなっていた。




「私の事覚えていたかしら?」

女性はヤズパの手を優しく手に取った。ヤズパは女性が生きているのか。死んでいるのか。それとも闇の力で一時的に蘇っているのか。様々な考えを巡らせているとヤズパは急に吐き気を催して、耐えきれずに吐いてみると、出てきたのは血であり、目の前にいた筈の女性は全身骨だらけになっていた。

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