第13話・瘴気魔神
レフト達がダンジョンに挑戦している中、ソムサヂ村には封じられていた瘴気魔神達が暴れ狂っていた。瘴気魔神は幻の魔物されていて、大きな体にそれに似合わない小さな翼、鋭利な爪に二本の角に三つの目を持っていた。名前は瘴気とあるが、瘴気の攻撃だけでなく魔力の攻撃にも長けていて厄災そのものとされていた。そんな瘴気魔神達に魔力を込めた火球や、瘴気のオーラの放出、魔力と瘴気を混じったブレスによって村人は無造作に殺されていき、村中に死体を築いて時間が経った死体はいきなり犬の遠吠えのような声を上げて瘴気魔神の幼体へと変貌していき、その幼体は生きている人を噛み付いて時間を掛けて幼体の数を増やしていった。そんな中、サニーンとアスモは戦っていた。サニーンは何時も使っていた剣は瘴気魔神によってゴミクズにされてしまって、代わりに村の武器屋に残っていた弓で瘴気魔神と戦っていた。
「弓の使い方がなってないぞ!!」
サニーンは弓を使い慣れてなく、上手く放った魔力を込めた矢は瘴気魔神に全く当たらずに、アスモに怒られていた。アスモは慣れた剣で瘴気魔神を切り付けていた。
「”狼狩り”《ウルフハント》!!」
アスモは狼のような力強く勇ましい攻撃は瘴気魔神に効いているらしく、瘴気魔神は一瞬で遠くに逃げて体制を整えようとした時、アスモは追撃を狙おうと魔力を全身に巡らせて目に大量の魔力を送った。
「”猛禽視界”《ルック・オール》!!」
魔力を全身に巡らせたアスモは鷹のように勇ましい目付きで飛んだ。逃げる瘴気魔神に狙いを定めて一切体がブレる事無く、瘴気魔神に追い付いて空中で更にアスモは魔力の攻撃を放った。
「”鳥獣・斬撃の舞”!!」
正確かつ素早く、加えて十分な威力を持つその技は、瘴気魔神を粉々にしてしまい、風に紛れて消えていった。アスモは取り敢えず瘴気魔神を倒した為、一息しようとすると、知っている声の呻き声が聞こえてあっという間にその声の主の方へ向かうと、そこには禊の森の遺跡にて見たサニーンの姿があった。
ダンジョンから抜けたレフト、シールディア、デスボダ、少女は少女の能力である地面の形を変化出来る能力を利用して、地面が上へ上へと隆起して、ソムサヂ村目掛けて勢いよく飛ばされた。レフトは後ろを振り向くと、地面で出来た人の手のようなものがあり、それはさっき飛ばした謎の少女の能力のものであると理解して間も無く、ソムサヂ村に着いた。
着・ソムサヂ村
村を囲うように瘴気で出来た壁が出来ていて、簡単に中へ入れないようになっていた。瘴気は人に害を及ぼすもので最悪、死に至る存在でレフトは過去に瘴気の恐ろしさを味わった事があった。それは瘴気に飲み込まれたサニーンが、異様な化け物へと姿を変えてレフト達を襲った事があり、アスモとリイロと協力して何とか事態を収められた。瘴気の壁はシールディアに壊してもらおうとしたが、シールディアは息を吸って助走を取って瘴気の壁を体当たりで壊した。特に魔力を込めた訳でもなく、ただの体当たりだった為、レフトは呆気に取られ、デスボダは豪快に笑った。謎の少女は何が可笑しいのかと首を傾げていた。
レフトはソムサヂ村の有様を見て自分にこの惨事を未然に防ぐ術があったんではないだろうか。ダンジョンに挑まなければ良かった。そう考えていたのを見透かしたのかシールディアはレフトを黙って抱き締めた。さっきまで笑っていたデスボダは村人の遺体を前にして 手を合わせて追悼した。
デスボダが追悼した遺体は急に呻き声を上げ始めた。デスボダは野生の勘で距離を取って拳に魔力を集中させて構えを取った。
「コイツは助からん……すまねぇ……」
デスボダは遺体が何かに変わってしまう前に、一撃を放った。
「”雷絶拳”《らいぜつけん》!!」
遺体は雷によって焼き消された。デスボダは足元に落ちていた石ころを蹴っ飛ばした。心苦しい気持ちに浸っていると、村の奥部から村人を殺し、何かに変わらす仕掛けを仕組んだ張本人であろう化け物が現れた。
「まさか封印を解いてしまった訳か……」
シールディアは目の前に現れた化け物について心当たりがあるらしく、村に封印されていた化け物、瘴気魔神について説明した。シールディアの説明を聞き、聞いていた三人は直ぐにどんなに恐ろしい存在なのか理解した。
瘴気魔神は二体いて、瘴気魔神の後ろには死体の山が出来ているのを四人は視認した。一体の瘴気魔神は死体を首根っこ掴んでいて、地面に叩き落とすと死体は呻き声を上げて姿を変え始めて、やがて小さな瘴気魔神になった。その様子を見てレフトは確実な死を感じたが、ここで終わりたくない気持ちもあってそれは単純に死にたくない気持ちと、何より弟のライトともう一度会いたい気持ちもあって、レフトは剣を手に取った。そんなレフトを見てデスボダはレフト顔面をいきなりぶん殴った。
「剣をしっかり持たんかい!! このブラコン!!」
ぶん殴られたレフトは自然と笑をこぼした。そんな様子を見てシールディアとデスボダも笑みをこぼした。少女はまた首を傾げると、地鳴らしが発生すると大地が盛り上がって針のように鋭くなって瘴気魔神を襲ったが、瘴気魔神は地面の違和感に瞬時に気付いて小さな翼で飛んで回避した。瘴気魔神は回避するとすかさず反撃として魔力で出来た火球を連投してきた。デスボダは拳に魔力を込めて、来る火球のタイミングに合わせて連撃をして火球をかき消した。連投と連撃が繰り返す隙にシールディアは高く飛び上がり、瘴気魔神の頭上目掛けて魔力を込めて剣を振るった。
「”割り剣”!!」
シールディアが放った一撃は剣というよりも、斧のような力強い衝撃音が瘴気魔神の頭上で起こったが、瘴気魔神の頭からは煙が出ていたが、確実なダメージには繋がらず、瘴気魔神は距離を取って魔力と瘴気を混ぜたブレスを放った。危ないと察した少女は地鳴らしが起こると地面から高い壁かつ、壁から熊の縫いぐるみが現れると、魔力と瘴気が混ざったブレスから瘴気だけを吸い取った。残った魔力のブレスは壁にぶつかると消えてしまった。
さっきから攻撃せずに様子を見ていた瘴気魔神の方は同じくまだ攻撃していないレフトに狙いを定めて魔力を込めた火球を投げ付けた。
レフトの腕では剣で火球を切る事は出来ないと判断したレフトは火球を避けて、取り敢えず剣に魔力を集中させようとしたが、魔力を認識出来るものの魔力量の調整は出来ずに、剣を持っていた左手に魔力を集中させ過ぎて左手の骨が折れてしまった。骨の痛みと共にレフトの意識は別意識にへと変わり、そこには暗闇の中に一人、弟ライトがいた。
「また来たんだね。 兄さん」
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