第2話・出会い、戦い、また出会い

「寝ていたのか…」

レフトはこの変わり果てたヌヌメイ村でつい寝てしまっていた。起きた瞬間に鼻の中に死臭が入ってきて、吐き気を催した。

「よく、こんな状況で寝れてたもんだ」

レフトはゆっくり起き上がり、弟ライトを探す事を再開した。レフトはヌヌメイ村を抜け、隣街ミバヤコルホを目指して歩き出した。




着・石橋前

レフトは隣街であるミバヤコルホに向かう為の石橋を使って向かおうとしたが、橋は崩壊しており、ヌヌメイ村とミバヤコルホの間にあったはずの川が無くなっていた。


「どこもかしかも変わり果てている……あの女のせいなのか?」

レフトは女のやった所業を頭の中に思い返していた。崩壊していく時計台が強く印象的に残っていた。それに加えて崩壊していく時計台の中、現れたライトが何度も何度もレフトの頭の中のスクリーンに映し出された。その映像が映ると術繋ぎで過去のライトの映像が映り続けた。

「ダメだ。 ダメだ。 ライトは生きている。 俺の弟はそんな弱い生き物ではない」




着・ヌヌメイ村

レフトは一度、村に戻り、自宅から古い地図、剣を取り出し、リュックに使えそうな物を積み込み、旅支度を済ました。ライトを探すのは勿論、この世界の今の状況を知る為に暫く旅をする事に決めた。レフトは丸まった地図を広げて、旅のルートを決めた。

「遠回りになるが、やはりミバヤコルホを探るのが……」


レフトは別のルートを使ってミバヤコルホに向かう事に決めた。体はズタボロで空腹であったが、道中で食料調達しようとナイフ、ロープもリュックに入れた。剣を暫く眺め、ライトの素振りの様子を思い出した。レフトは剣を振るった事はこっそりライトがいない時に一度振っただけだった。この剣はライトが普段振るっていた剣だった。




着・禊の森

レフトはミバヤコルホに向かう為、何時もの石橋とは違い、遠回りして禊の森まで来ていた。禊の森は名前とは違い、様々な果物が成っていたり、食用のキノコが生えていたり、人に懐く鹿が生息しており、危険な森として印象は無かった。名前の由来はレフトは知らなかった。


「久しぶりに来たけど……ここも前とは随分印象が違う」

レフトは剣を持ち、慎重に歩いていた。暫く歩いていると、ある事に気付いた。

「果物が全く成っていない……しかも、キノコも。」

レフトは足元に違和感を感じて、足元を見てみると、鹿の死骸があった。レフトは腰を抜かして、坂だっため、後ろへ下り落ちてしまった。最終的に木に激突してしまい、レフトは意識が飛びそうになったが、視線を感じて急いで立ち上がって、坂の上にあるであろう剣を取りに行く為、走り出した。坂の上に着くと、一人の青年がいた。


「剣は常に持っておくべきだぞ。少年」

「少年って……お前も俺と同い歳ぐらいだろ」

青年はレフトの言葉を無視して、レフトの持っていた剣を振るい出した。

「中々良い剣だな。 かなり振るわれていて、でも、経験値は見当たらない……」

「剣に詳しいのか……そんな事より聞きたい事がある」




レフトは禊の森の中を歩きながら、青年から色々話を聞く事にした。

「俺は、サニーン・レッダ。おかしな名前だけど、宜しくな!」

レフトは久しぶりに笑みをこぼした。こんな平和とは言えない世界になった状況の中、明るいサニーンを見てレフトは元気を貰った気がした。

「俺はレフト・カモラヲ。沢山聞きたい事がある」

「勿論いいぜ。 何でも聞きな」

レフトは沢山質問がある中、一つ質問を選んだ。


「この世界はどうしてしまったんだ?」

「……俺にも分からない」

「……」

「無言は止めてよ! 流石の俺も泣いちゃうよ!」

サニーンが泣きそうになっていると、レフトはさっき感じた目線を再び感じて、危険を察してサニーンを投げ飛ばした。サニーンは文句を言おうとなるが、投げ飛ばされ理由を直ぐに理解した。二人の直ぐにはウルフがいた。


「お前は何か武器持ってるか?」

レフトはサニーンに目線を移すと、サニーンは腰が引けており、体が震えていた。

「俺一人でやるしか……」

サニーンはライトの剣を振るう様子を思い出し、サニーンはウルフに前進して、大声を上げて、ウルフに対して剣を切り付けた。ウルフからは血しぶきを上げたり、呻き声を上げてウルフは倒れた。

「やったか……始めて生き物を殺した……」

レフトは少し罪悪感に浸っていると、サニーンの顔色がどんどん悪くなっていて、レフトの後ろを指しているのに気付いた。後ろを振り返ると、ウルフの群れがいた。


二人はウルフの群れから逃げ、森の出口を目指していた。森からは霧が濃くなっていて、ウルフの姿が見えなくなり、森のどこら辺かも分からなくなってしまった。


「落ち着け……ウルフの行動……森の地図……この状況から抜け出すには……」

レフトは立ち止まり、目を瞑り、サニーンの泣き言も無視して、考えた。レフトは目を開き、持っていた剣を投げ飛ばした。投げ飛ばした剣は宙を浮かび、一人の人間が手に取った。

「よく気付いたな……俺に任せろ」

その人間はレフトでもなく、サニーンでもなく、少女だった。


”猛禽視界”ルック・オール

少女の目の色がまるで獲物を捕らえる鷹のような険しい目に変わり、霧の中何かに飛び込んだ。レフトとサニーンの目の前にはウルフの大群が見え出した。それによってレフトとサニーンは揃って腰を抜かしてしまった。少女は霧の中でもウルフの大群を捉えていたかのようだった。少女はウルフの大群に向かって前進して、剣に力を込めた。

「”鳥獣・斬撃の舞”」

少女がそう言って剣を振るうと、ウルフ達は粉々に切り刻まれ、血が鮮やかに舞踊り、ウルフ達がいたはずの場所には死骸も、血も残らず、代わりにその少女が華麗にポーズを決めていた。


「貴様達はこの森で何をやっている?」

その少女はこの森の調査に来たらしく、偶然レフト達がウルフから逃げているのを見つけた様だった。アスモはレフトに剣を返して、自分が持っていた剣を撫でながら自己紹介した。

「俺の名はアスモ・ワビピカ。 ウルフに喰われているお前達も見てみたかったが、お前が剣を俺に投げたから、俺が技を見せてやった」


レフトはアスモに何の調査に来たのか聞く事にした。

「この禊の森には、隠れた遺跡がある……らしい」

禊の森はヌヌメイ村よりも広く、レフトもこんなに長く滞在した事は無かった。また遺跡がある事も知らなかった。

「それよりもアイツ遅ぇな」

アスモが貧乏揺すりしていると、レフト達の所にアスモよりも幼い少女がやって来た。

「すいません。 すいません。 迷子になってしまって……誰ですか? 」

「コイツらは……名前聞いてなかったな」

アスモに促され、レフトとサニーンは自己紹介した。続いて少女も自己紹介した。


「私はリイロ・リネです。 えっと……宜しくお願いします!」

リイロは顔を赤くしながら、頭を下げた。サニーンはリイロの穿いているパンツを覗こうとすると、アスモが鬼の形相でサニーンを睨み付けていた為、咳払いをして止めた。


「俺達も遺跡とか興味あるし、付いて行って良いよな? ”お兄さん”?」

サニーンはレフトに同調を求める為、レフトの顔色を伺い、アスモに同意を求める為、アスモの顔色を伺った。

「”お兄さん”じゃねぇよ、”お姉さん”だろうがよ。 」

アスモは手元にあった剣を振るい、サニーンを殺そうとしたが、サニーンは咄嗟に逃げた。すると、サニーンの足元にてスイッチを押した様な音が聞こえたと思った瞬間、森は暫く振動して、レフト達の目の前にアスモが探していたであろう遺跡が地面から現れた。

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