第33話・誰もが打開策

アスモは一部始終を池を通して見ていた。自分の体が誰かに使われていて、しかもその体で一人の少女を殺めた事に頭の整理が出来ないでいると、女性が自分を責めないようにと優しく頭を撫でた。その女性と幼い頃に病気で亡くなった母と重ねていて勝手に寂しい気持ちに駆られていた。

「私の名前はエリザベ。 今協力して欲しい事が出来ました」


エリザベには二つの人格があって、二つの人格は分離して同じ人間がこの世に二つ存在しているという事だった。アスモの目の前にいるエリザベとは別の人格が神授魔力・”ペルセポネ”・”裏”と呼ばれる能力があってその能力は、蘇生能力でアスモの目の前にいるエリザベは使う事が出来ないと語った。そして自分には別の能力を持っている事を語った。神授魔力・”ペルセポネ”で、”裏”とは全く違う能力で草木の成長を促す能力で、戦闘には向いていなくて自分でもこの能力に納得がいかない時も多少あった。そしてエリザベがいる花畑に咲いている花は神授魔力によって全て咲いた花であって、以前は荒れ果てた土地で種を撒いただけで数時間足らずであっという間に一面に花畑が完成していた。


エリザベは自分の能力を語り終えると、地ならしが発生してアスモを咥えた魔物が大量のザクロを口に入れてアスモとエリザベの元に戻って来た。名前はアップルルと呼ばれていて、よく見れば大きなリンゴのような体である事にアスモは気付いた。エリザベの能力は理解したが、協力して欲しい事は一体何かと聞くと、エリザベは滝の方で詳しく話すらしく二人は滝壺の近くまで来て今回の作戦を告げた。


エリザベ自身もこの空間から脱する事は出来ず、もう一つの人格のエリザベがこの空間に入った時にこの空間は消え去って二つの人格が消滅されて、神授魔力事態も消滅するとエリザベは告げてアスモにはそのもう一つの人格をこの空間に連れて来て欲しいとエリザベは告げたが、ここで矛盾をアスモは述べた。それはアスモもこの空間から出る事は出来ないという事でこの作戦は無理と思えたが、滝壺に隠れてある洞窟を通り抜けて奥部には墓石と近くに花が添えられていた。その墓石にアスモの手が触れた瞬間に脳裏にエリザベが現れた。そのエリザベは知っているエリザベとは違って、暗い目と黒色の服装をしていてこの人がもう一つの人格のエリザベだと分かった。何か言ってるようだったが、幾ら耳を澄ましても聞こえず何処かに行ってしまうので逃がすまいと後を追っていった。




エリザベは目を覚ますと、近くにあった機械は全て無くなっていて、少女の顔も無くなっていて、ヤズパもその場にいなかった。空腹に襲われて取り敢えず何か食べ物が無いか近くを探索しようとしたが、首元に冷たい感触を覚えた。その冷たい感触の正体はナイフでそのナイフを持っていたのはエリザベが自らの手で蘇生させた少女だった。

「ヤズパさんに頼まれて。 貴方をこっから動かすなと」

少女はまるで洗脳されているようで、同じ言葉を何度も繰り返すだけでナイフを持っている少女の手は小刻みに震えていた。少女の体に入れた少女とは違う魂の正体を知らないエリザベは魂の心の隙間を探す事にした。


エリザベは色んな質問を少女にしたが、少女の答えは無言の一択だった。エリザベは神授魔力の影響で人の心が揺れる瞬間を敏感に感じ取れる事が出来たが、全く心の揺れが感じ取れずにどうすればここから脱する事が出来るかと考えている内に、また突然の眠気に襲われた。この状況で眠るのは流石に不味いと思って眠気に抗うが、一分も経たず眠りに落ちてしまった。


エリザベは目を覚ますと、少女はいなく知らない暗い場所にいた。ここは夢なのか現実なのか分からないでいると、奥から一つの少女が歩いて来た。

「貴方が”もう一人のエリザベ”ですか?」

その言葉の意味を理解する事に時間が掛かったが、自分とは違う別の人格が存在している事を思い出した。嫌な予感がしたが、大方その予感は正解で神授魔力を無くなる結果になる事が分かった。目の前にいる少女を殺そうと思ったが、生憎武器も、代わりに戦わせる蘇生させた人間もいない為にエリザベは少女の言葉を無視してその場から逃げようと思ったが、少女に強く体を掴まれてその手を振り払おうとした時、アスモの顔が前ヤズパが用意した少女の顔が同一人物である事が分かって、裏切られたヤズパに仕返しがやりたい気持ちがあったエリザベはアスモの言う通りにしようと思ったが、やっぱり神授魔力が無くなるのが嫌で頭を悩ましていたが、それを察したアスモはそんなに神授魔力が大切なのかと疑問を持ったが、試しにアスモは全身の魔力を高めようとしたが、魔力を感じ取れずエリザベはその様子を見て呆れた様子だった。

「あんたは死んでるんだし、他の奴があんたの体借りてるんだから当たり前でしょ」

アスモは自身で魔力を失う辛さを痛感する結果になっていた。どうしたらエリザベを納得させられるか考えていると、エリザベから一つ提案を持ち上げた。


エリザベの提案はアスモが”しっかり”死ぬ事だった。そうすれば神授魔力をエリザベが失う事が無いと思った。アスモはこの場から脱して、もう一度自分の体でレフト達と一緒に平和な日常を暮らしたいと思っていた。しかし、そのチャンスを失う事になるエリザベの提案に納得いかなかった。エリザベはため息をつくと、心配は要らないようで、何故なら神授魔力でまたアスモを蘇生させれば良いからだ。ただその為にはアスモの中に今ある別の魂が離れる必要がある事を付け加えて説明した。しかし、アスモは池を通してレフト達の戦いを見ていた。状況はかなり不利で望みは薄い事を理解した。今度は何かレフト達を援助する方法が無いかエリザベに聞こうとした時、突如エリザベが喋る声が聞こえなくなっていき、徐々にアスモの視界が真っ暗になっていった。




アスモは気が付くと墓石の前で近くにエリザベがおらず、滝壺の洞窟を抜けて花畑の方へ走っていってもそこにはおらず、アップルルがライチをたらふく頬張っていた。




アスモ?は再び魔力を高めて次のターゲットを考えていた。

「これ以上アスモの体で遊ぶな」

皆一人の莫大な魔力量に驚いた。アスモ?は首を傾げると態と顔を剣で傷付けた。レフトは剣を強く握り締めた時、肩を叩かれた。振り返ると、そこには莫大な魔力量になっているサニーンがいた。サニーンは弓を構えると、矢の先はアスモ?の頭に狙いを定めていた。レフトはちょっと考える時間が欲しかったが、サニーンの顔からは怒りと何か勝ち誇った様子で矢を放った。

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