第28話 ピリレイスの地図
オーパーツと言えばまず鉄板で名前がのぼるのがこのピリ・レイスの地図である。
これは南山宏氏と高橋克彦氏の対談集である「超古代文明論」でも語られており、かつて氷に閉ざされるまえの南極が描かれていると伝えられる。
この地図はオスマン・トルコの海軍軍人であったピリ・イブン・ハジ・メムド提督が作成したとされる現存する二つの世界地図のうち1513年に作成したものである。
アメリカの古地図研究家アーリントン・マレリーは、この古地図に興味を持ち、詳しく分析を行ってみた。
すると分析を進めるうちにある重要な事実に気が付いたと言われる。
「これは南極大陸の地図ではないか!」
驚くべきことに地図の南端に見える陸地は、氷に覆われる以前の南極大陸の海岸線を示していたのだ。
しかも地図の海岸線は、エジプトのカイロ上空から撮影した衛星写真の地形と見事に一致していた。
この事実は後に、アメリカ・ニューハンプシャー州にあるキーン州立大学の故チャールズ・ハプグッド教授によっても確認されている。
歴史上南極大陸の発見は19世紀になってからであり、16世紀の人物であるピリ提督が南極を知りえたはずはない。
ではなぜ彼はこの地図を作製することが出来たのだろうか?
当時世界帝国であったオスマン・トルコには世界中から貴重な資料が集められ、ピリ提督はエジプトからとり寄せられた古い文献を目にする機会もあったと言われている。
有史以前、人類が失われた文明を保持していたころの史料を何らかの形でピリ提督は目にしたのではないか。
彼は地図に「これは昔の地図のコピー」と書き残しており、彼がこの地図の制作にあたって約2,000年前の「マッパ・ムンディス」と呼ばれるアレキサンダー大王の時代の「人間が住むあらゆる世界が示された地図」を参考にしたとも書き残している。
すなわちこれは古代文明の痕跡を示す貴重な資料なのである。
――――――そう考えていた時期が僕にもありました。
神々の指紋の作者であるグラハム・ハンコックが正距方位図法を用いて説明しようとしているが、それをもってしてもピリ提督の地図はお世辞にも正確なものとはいえない。
ミステリー雑誌などでは宇宙からの衛星写真とピリ提督の地図の海岸線が一致した、などという記事も目にしたが現実にそんな事実はいっさいない。
おそらくは原住民などの伝聞情報をもとに作成されたのだろう。
キューバ島などは明らかに大きさも形も位置も違うし、イスパニョーラ島は左右に長いはずなのに上下に伸びている。
さらにアンデス山脈は地図よりもずっと海岸よりにある。
一番誰の目にもつくのは南アメリカ大陸と南極大陸が繋がっていることだ。
南極が氷に閉ざされる前、南アメリカ大陸と南極大陸は繋がっていた!という無理な主張もあるがレーダー測定によって海の水も氷も無視して測量が可能となった現在ではそんな主張は間違っても通らない。
現在もっとも有力な説は羊皮紙に地図を描ききれなくなったピリ提督が南アメリカ大陸の南端を無理やり90度まげて強引に一枚の羊皮紙に書きこんだという説である。
現代と違い羊皮紙は加工も難しい上一度書きこんだら修正もできない。紙と違って量産することも難しく貴重なものでもあった。
実際に南極であると主張されている海岸線は南極には似ても似つかないが南アメリカ大陸の東海岸には似ているのである。
いずれにしろこの地図をもって南極大陸の存在を遥か古代の人間が知っていたと主張するのは無理があると判断せざるをえない。
というより、南極大陸は描かれているが、オーストラリア大陸が存在しない地図にどれだけ信用が置けるというのだろうか。残念!
というか南極大陸らしき地図の下にきちんと「テラ・オーストラリス」って書いてあるんですけど(笑)
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