第59話 このお話はフィクションです
これも伊集院光がやりすぎコージーで語った都市伝説である。
正直関暁夫の都市伝説はムー民ならだれでも知っていることなどで新鮮味がない。(月刊ムーの読者をムー民と言うのである。今もそうかはさだかでないが)
それに対して伊集院氏の都市伝説は非常に珍しく興味深いものが多い。
そのなかの一つはすでに紹介したウルトラマンがぶちきれて東京を火の海にした話だが、もうひとつがこの放送界の決まり文句なのである。
ほとんどのドラマ、特にドキュメンタリーでない創作の番組は「この番組はフィクションであり、登場する人物や会社名は実在するものとは関係ありません」というテロップが流れるはずだ。
このテロップが作成されるきっかけとなったのは次のような視聴者からの手紙であったという。
その当時、超人バロムワンという番組が子供たちの間で流行していた。
仮面ライダーをかなり意識しているので、正直今見るともやもや感が残る。
その敵役として登場してくる悪の親玉が魔人ドルゲである。
ドルゲ怪人と次々と送り出し、バロムワンをあと一歩のところまで追い詰めるも最後には宇宙空間で壮絶な爆死を遂げる。
そんなある日、TV局に一通の手紙が届いた。
「私は八王子で開業医を営んでいるドイツ人だ。名をアルント・ドルゲという。実は子供の通う学校でバロムワンが人気なために、子供がドルゲの手先だ、悪の組織の一員だ、と苛められている。このままでは日本を離れることも検討しなくてはならない。できればもう十数年も住んでいる日本に住み続けたいのだがなんとか手を考えてもらえないか」というものであったという。
そのため局は番組の最後に「このばんぐみにでてくるドルゲというなまえはじっさいのなまえとはかんけいありません」というテロップを放送した。
これが日本で初めて実在の人物とフィクションとのかかわりを否定するテロップであった。
この事件はドルゲ事件として割と放送界では有名な話であったらしい。
その後番組の企画で、「そうだ、あのときのドルゲさんに連絡をとってコメントをもらおう」という企画がもちあがった。
ところがである。
探してみたところ当時日本で開業していた外国人のなかにドルゲなどという人物はいなかったことが判明した。
八王子市役所で外国人登録を調べてみても当時八王子市にドルゲという外国人はいなかったようだ。
結局番組スタッフの捜索にもかかわらず、手紙の送り主であるドルゲ氏の存在を証明するものは何もなかったらしい。
いったいあの手紙を送ったのは誰なのか。
今でも放送局は「この番組はフィクションであり……」のテロップを流し続けている。
リアウィンドウに赤ちゃんが乗ってます、というステッカーの貼られた車を見たことがあるだろうか。
乳児を乗せた車に結構貼られていることが多く、結構普及してきているようで管理人もよく目撃している。
ところがこのステッカーの誕生には哀しい事件が存在した。
アメリカのミシガン州である女性が交通事故を起こした。
かなり大きな事故で女性の乗った車は大破し、女性は意識不明の重体となって生死の境をさまよった。
幸いにして女性は数日後意識を取り戻し、命を取り留めた。
しかし意識を取り戻した女性がまず発した一言は
「私の赤ちゃんは無事?」
であったという。
答えることのできなかった医師は事件を担当した警察署に問い合わせた。
慌てた警察官によって大破した車を調べたところ、後部座席の運転席と足元の隙間に入り込んだ赤ちゃんの死体が発見された。
目立った外傷のなかったことから事件当時に救出していれば赤ちゃんが死ぬことはなかったらしい。
そのため赤ちゃんの乗車した車にはステッカーが貼られることになったのだという。
つまりあれは、もし事故が起こったら優先して赤ん坊を救出してくれ、という悲痛な母親の叫びであったのである。
恐怖体験や殺人事件都市伝説ほかの駄文 高見 梁川 @takamiryousen
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