恐怖体験や殺人事件都市伝説ほかの駄文
高見 梁川
第1話 怪談サイクリングコースの老婆
これは私が大学生のころの話ですなんですがね。
春休みに友人と二人で、寝袋と着替えだけ持って旅行に出まして。
無人駅に泊まったりした貧乏旅行でしたけど……まあその当時はちょっとした冒険気分ですごく楽しかったですよ。
あれはN県に入って初日のことでしたね。
綺麗な湖があるんで有名なとこだからたぶん皆さんも名前くらいは聞いたことありますよ。
散歩してたらそこのサイクリングコースに迷い込んじゃった。
よせばいいのにこのサイクリングコースを歩いて走破しよう!なんて二人で盛り上がっちゃって……でも景色は綺麗だし空気はおいしいし、写真なんか撮ってるうちにあっという間に時間が過ぎて夕方になっちゃった。
ずっと歩き続けて足もくたくただし、空は暗くなってくるし、もうそろそろ帰ろうって友人に言ったんですよ。
でもやっこさん意地になっちゃってて次が最後だから、って先にすすんで行くんですよね。
まあ実際観光案内版みたいなのにかかれたポイントっていうのが、次で最後だったんですよ。じゃあいいかって思いましてね。
………その最後のポイントっていうのが不思議な場所でしてね。
サイクリングコースから山にむかって続いてる細~~い枝道を登っていくんですよ。
どうみても自転車で登れるような場所じゃないんです。
わざわざ自転車から降りて歩かないとね。なんだか変なとこ来ちゃったな~ってその時は観光案内版を恨みましたよ(笑)
5分ほど歩いたかなあ。
1mくらいしかない幅の道に体育座りみたいな格好してお婆ちゃんがいるんですよ。
よれよれの着物……っていうのかな、今考えると時代劇に出てきそうでしたけどね。
そんなお婆ちゃんがうつむいてなんだかブツブツ言ってる。正直引きましたよ。帰りてえええ!って。
でも友人はずんずん進んでいくし、回れ右するのもお婆ちゃんに失礼な気もしましたしねえ。
お婆ちゃんの足をまたぐようにして先に進みましてね。
そん時「親を……」みたいな声が聞こえて、ああ、これは親子喧嘩でもして飛びだしてきたのかな? なんて思って、そしたら薄気味悪かったお婆ちゃんもなんだか可哀そうに思えてきた。
そこからさらに3分近く歩くと少し拓けた場所に出て、最後のポイントの神社にでましてね。
神社っていったって祠みたいなもんですよ。ちっちゃい神社で。
そんで横に木製の看板があって神社の来歴が書いてある。
宝暦だか天明だか……忘れましたけどね。なんだかいうえらい法師が昔に建立したらしい。
暗くて見えにくいんでジッポライターを点けましてね。その手がだんだん震えてくる。ガタガタガタガタ……
「おい、これ………」
………って友人の顔真っ青ですよ。もちろん私も。
だってその神社の建立された由来っていうのは……昔ここが姥捨て山だったからなんですから……
それじゃまさかあの婆さんは………
そう思ったらもうたまらなかった。後はもう半狂乱で脱兎のごとく逃げましたね。
狭い1本道のはずでしたけど帰り道であのお婆さんに会うことはありませんでした。……ということは……やっぱりそういうことなんでしょうかねえ……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます