第51話 増山ひとみさん失踪事件
被害者の増山ひとみさんが暮らしていた南相馬市原町区は管理人の住む福島県の北東に位置する海沿いの地方都市である。
同じ県だからというわけではないがこの事件には発生当時から管理人も注目していたが現在も進展はなく、ご家族の心中を考えれば深い同情の念を禁じえない。
しかも原町市は現在原発事故の影響を受け市民が県外へと流出して復興半ばという過酷な環境にある。
このまま事件が風化することのないよう僭越ながら取り上げさせていただく。
【事件の詳細】
原町日の出町の職場を退社後(3週間後に結婚を控え、この日が最後の出勤だった)、行方不明に。
乗用車は同市内スーパーの駐車場に放置されており、所持品や餞別にもらった花束などが全て車内に残されていたほか、車体に中傷の落書きがあった。
婚約が決まってから自宅に無言電話が相次いでおり、失踪当日には職場に女性の声で不審な電話があったという。
その女は増山さんの婚約者の元愛人のようで、増山さんは彼女と何回か電話で話したことがあった模様。
また、翌年1月4日に、中年女性の声で実家に不審な電話があり、この時の会話が録音されている。
【失踪前後の出来事】
1月25日
後に発見された増山さんの手帳にこの日の日付で婚約者の愛人に関するメモが残されていた。
2月19日
職場に増山さん宛てに女性の声で不審な電話が掛かる。
時計を見ながら増山さんが何かを話していたのを同僚が目撃。
同日13:10
ひとみさん勤務先の歯科医院を退社。
これ以降の足取りが不明。
失踪の翌年(1995年)1月4日
実家に中年女性の声で不審な電話が掛かる。
どう控えめに見ても婚約者の元愛人が怪しいのだが、これだけの長期間警察が任意でも同行を求めないということははっきりとしたアリバイがあるのだろう。
ただこう言ってはなんだが利権がらみの暴力団組織がはばをきかせている土地でもある。
原発や大規模処分場の建設をめぐって地域住民の反対運動を分断するために、地域権力と暴力団が癒着しているとのうわさが絶えなかったことを管理人は知っている。
管理人の住んでいるI市からは車で1時間半程度の距離で知り合いも多いのだ。
それだけに暴力団の兵隊気取りのチンピラがいて、その知り合いが犯行を持ちかけたのではないかと疑ってしまう。
もしそうだとすると増山さんの生きている確率は限りなく低くなるだけに心苦しくはあるのだが。
裏付けが取れていない情報だと断っておくが、事件のあった原町区に住む会社の同僚は増山さんの婚約者は今では元愛人とよりを戻して結婚してしまったと言っていた。
しかもその元愛人の父は暴力団関係者である、とも。
わりと地元住民の間ではポピュラーな噂であるらしい。
足取りがつかめず死体が発見されないのはプロのヤクザの犯行だからではないか?
震災による被害からの復興で何らかの手がかりが偶然発見されることを祈るばかりである。
近年TVの特番で婚約者に対するインタビューが行われ、そのなかで増山さんと結婚するはずであった婚約者が
「彼女を探す理由はない」
「彼女は自分の意思で失踪したのだと思う」
と発言していて非常に憤りを覚えた。
一刻も早い犯人の逮捕を心より願わずにはいられない。
【連絡先】
福島県警HP
URL⇒http://www.police.pref.fukushima.jp/keisou/johofiles/s_souma01.html
福島県原町警察署:電話番号⇒0244-22-2191
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