第16話 アリエノール・ダキテーヌ(アキテーヌ)王妃・リチャード獅子心王の母 2つの王国 美貌の王妃
時は百年戦争よりも前の時代 12世紀
遠因となった御話でもあります
フランスと英国の王のそれぞれの妻となった
アリエノール・ダキテーヌまたはアキテーヌ
西ゴート王国の時代から すでに歴史にその名を記する古い歴史を有した
フランスのアキテーヌ公領地
北のロワールから南はプレネーと広大で フランスの全土の三分の一
アキテーヌ公は ポワティエ伯爵とガスコーニュ公爵でもあり
塩とワインの交易で莫大な利益を持って 豊かな富もその手にしていました
この時代は パリのカペー朝のフランス国王ルイの持ちえる領地は
北フランスの一部しか過ぎませんでした
中でも アリエノールの祖父アキテーヌ公ギョーム9世は
十字軍に参加
そして 異国の進んだ文化などに触れ 文化人として
東西の楽師などの音楽 詩人などを招き
それは 華やかな宮廷文化を華開かせます
ギョーム9世は 奔放で恋多き彼自身も トルバドウール(吟遊詩人)
として 大いにもてはやされようです
こうした南フランスの豊かで華やかな世界の環境は
孫娘アリエノールに多いに影響を与える事になります
当時の女性としては珍しく
音楽にラテン語 文芸に深い素養がありました
また世界の薔薇と呼ばれるほどの美貌も持っておりました
そして 明るく華やかな性格のアリエノールは
やがて若くしてアキテーヌ公 女領主となり
修道院育ちの生真面目、僧侶のようなルイ7世(敬虔王)
と婚姻する事になります
フランスの王妃となった
アリエノールは15歳でした
性格の違いはあったものの
ルイは穏やかな性質だったので 当初は夫婦仲が上手くいっており
やがて二人の間には娘が二人生まれます
彼に随行してアリエノールは共に十字軍参加
しかし道中の途中で
攻撃を受け 多数の死者が出るなどの大きな被害
身ぐるみを剥がれた状態で
慕っていた叔父のいるアンテキオアにどうにか辿りつき
そこで保護された形となるのです
しかし アリエノールは
この若い叔父レーモン・アンテイオキア公との
仲を疑われ ルイは妻を拘束して エルサレムへと向かい
その事が叔父のレーモンの戦死を招き
エルサレムでの作戦も上手くいかず 帰国する事となります
この事が二人の不仲の原因となり
11歳年下のアンジュ―伯の長子アンリ(英国名・発音ヘンリー)
※後の英国イングランド王ヘンリー2世
初代プランタンジネット朝(またはアンジュ―朝 が
1551年頃ルイの宮廷を訪問
アンリ(ヘンリー)は母方の祖父が英国イングランド王ヘンリー1世
母親が
元ザーリア朝・神聖皇帝ローマ皇后マテイルダで 夫ハインリッヒ5世が逝去後
フランスの有力貴族アンジュ―伯に嫁ぎ生まれ
イングランド王であるマテイルダの従兄ステイーブン王との抗争をしていました
彼は二度目の訪問1552年頃
アリエノールは逞しい姿の彼に関心を持ち 彼が戦ってるステイーブン王の為に
イングランドが無政府状態になってるという彼の話を支持
もし夫ルイから解放してくれたら富を約束
美貌のアリエノール
そして夫ルイはそうとは知らず ついに離婚を承諾
近親婚を理由に 婚姻を解消します・離婚
二か月後に二人は婚姻
これはフランスの領土の半分近くが二人のものとなり
ルイの脅威となる事になるのです
実はアンリ(ヘンリー)の方が血縁関係はルイよりも近く
ルイの臣下であったアンジュ―伯アンリことヘンリーが
元妻であり
莫大な富と領地を持つアキテーヌ公アリエノールとの婚姻した事に
激怒しますが 後の祭り
1154年ステイーブン王の逝去により
アンリことヘンリーが イングランド王ヘンリー2世として即位
プラジネット王朝が生まれ初代王となります
二人の間には 息子5人・そのうちの二人がリチャード獅子心王と失地王ジョン
それに 娘三人
前のルイとの二人の娘たちがそれぞれ嫁ぎ 各王家の祖となるのです
※中には 遠いカステーリア(のちのスペイン)に嫁いだ娘の姫もいます
夫ヘンリー2世とアリエノール
二人の仲は やがて考え方の違いからすれ違い
アリエノールが溺愛した息子 リチャード
(のちの十字軍で活躍するリチャード獅子心王の事で
夫であるイングランド王ヘンリー2世との戦いとなるのです)
発端は
幼い少女の頃から
宮殿で養育していた息子リチャードの婚約者アデルに
ヘンリーが手を出すなどの事件を起こすなど・・
南フランスのアキテーヌ領に戻り 事実上の別居など
そして
息子たちの反乱 息子に与するアリエノールは元夫ルイと手を組み反乱
ヘンリーに囚われ 長い監禁生活
息子リチャード獅子心王の即位により解放
※アリエノールは戦争中 鎧姿 騎士の姿で戦って・・という説
長い監禁生活の間 老齢となったものの変わらずも美しく
アリエノールは慎み深く
謙虚で雄弁な女性となっていました
息子が十字軍などで長い海外遠征で国を統治出来ず
彼女が代理 摂政を務め
そして各地を周り 息子の支持者たちを集めました
息子リチャードの為にアデルの代わりに婚姻する相手を求め
遠いスペインの地であるイベリア半島
ナバラ王サンチョ6世の王女を迎えに行ってます
また
1189年リチャード獅子心王が遠征地で
神聖ローマ皇帝ハインリッヒ6世に囚われ
解放の為に 娘婿の一人ザクセン公兼バイエルン公と協力して
それに成功します
争うリチャードとジョンを仲直りさせるものの
リチャード獅子心王は怪我の壊疽により41歳と若くして亡くなり
・・父に奪われたアデル姫の件・アデルとは同じ宮殿で幼い頃から暮らしていました
または男色家という話もあり 子供を持てなかったという説も
・・庶子はいたとの話もあります
先のオーギュスト(尊厳王)フリップ二世とも長い間は大変仲が良かったそうです
※仏のフィリップ2世はアリエノールの孫娘(スペイン・カステーリア王家)を花嫁に迎えてます
ジョン・失地王の時代
1204年 80歳という長寿で フォントブロー修道院で逝去します
白泉社 花ゆめコミックス 「花巡礼」?で王妃の御話を読んだ事があります
また『冬のライオン』・・という映画があり
幾度もリメイクされたようですが
オードリーヘップバーンが主演したものがあるそうです
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