第31話 東洋の白磁に恋して 独逸、ドレスデンのマイセン窯


マイセン 


17世紀後半から

東洋(日本、中国)からもたされた白磁の器に魅せられて

欧州では『白い黄金』ともされて 一大ブームとなっていました


逸話として

一枚の皿と精鋭の兵士達が同じ価値とされた事もありました


収集家の王侯貴族たちの中には

城の一部屋を 一面、東洋の白磁の皿を飾る為にあてがう程の力の入れようでした。


ザクセン選帝侯アウグスト2世もまた 

日本の伊万里、柿右衛門の作品等を愛してやまぬ

収集家でした


彼は収集だけでは飽き足らず


支配地ドレスデンで


錬金術師のヨハン・フリードリッヒ・ベトガーを幽閉して

白磁の器の開発をさせました


ベトガーは

学者のエーレンフリート・ヴァルター・フォン・チルンハウスの力を借りて


新たにアウエ鉱山のカオリンに使い、通常より高い温度で窯から

白磁の器を作り上げる事に成功しました


それが欧州初の白磁  現在のマイセン窯の始まりです


藍色を主体として

中国ではザクロや桃の吉兆の図柄が

玉ねぎの図案となり ブルーオーキッドが生まれ


柿右衛門の図柄などの影響を受けた白磁が次々と生まれました


青色が主体となった理由に 青色が聖母マリア像のマントに使われるなどの

宗教的な意味合いもあったようです


やがて、精密な人形の陶器なども

マイセン窯の造形主任のヨハン・ケンドラー達によって生み出されます。



しばらくは秘密とされた白磁の技法も やがて持ち出され

ウイーンにベネチア コペンハーゲンなどでも同様に作り出されて


英国のウエッチウッド窯 イタリアのジノリ窯 

フランスのセーブル窯、リモージュ窯

デンマークのコペンハーゲン窯など


現在も続く名窯が生まれる事になりました


なお、逸話としてザクセン選帝侯アウグスト2世は白磁の柿右衛門、伊万里焼きの器の為に 日本宮を作る予定でしたが 生憎と彼の死で幻となったとの話です

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る