第16話 勝負

   夏樹side


夕飯が出来たので天花寺さんを呼びに天花寺さんの部屋のドアをノックする。


「ご飯できたよ~」


「は~い」


今日の夕飯はとんかつ。2人反対側に座り黙々と食す。


「もうすぐテストだね~」


「夏樹君は勉強してますか?」


「まぁぼちぼちかな~」


「そうですか」




「天花寺さんは勉強得意なの?」


「いえ、全然出来ないです」



そう、この時までは完全に自分より下だと思っていたのだ。


風呂から出てソファにダイブするとA4サイズの茶封筒が目に入った。


「天花寺さんのかな」


興味本位と自分のかもしれないと言う思いで中に入っていた書類を取り出す。




OMG。。。




   綾香side


Instagramの反応と伸びを確認して風呂に入ろうと思いドアを開けるとそこには


口全開で目を開きながら一枚の紙を見つめる夏樹君がいた。


「て、天花寺さん?」


「どうかした?」


「こ、これって前回の模試?」


「そうだけど」


「俺より30位も上じゃん!全国6位って...」


「えぇぇぇぇ!夏樹君そんな高いの!?」


「いやそこじゃないでしょ」




「もしかして定期テストの1位って天花寺さん?」


「そ、そうだけど」


「ずっと気になってたんだ~」


その言い方はやめて。勘違いしちゃうじゃない。



「そ、そうなの?夏樹君は何位なの?」


「ずっと2位だったんだ」


「そうなんだ」


「天花寺さんに勉強教わりたいよ」


「ダメよ。抜かされちゃうじゃない」


冗談を交えた会話もぎこちなくなくなってきた。


もう友達と言っても良いのではないかと思っていた。



そこで夏樹君が1つ提案した。


「今回のテスト勝負しないか?」


「いいけど。勝算はあるの?」


「正直ない。」


「勝った方は何するの?」


「なんでも」


「分かったわ。少し気合が入った!ありがとう」




勝つことを確信して何をしようか迷う少女がいた



   夏樹side


「分かってしまったんだ」


「どうした夏樹」


「ついに1位が」


「そうか!誰なんだ?」


「んぐ、て、」


「て?」


「天花寺さんだ」


「えぇ!?まじで?」


「俺もびっくりしたさ」


「なんでお前みたいな奴が分かったんだ?」


「いやぁまぁいろいろあってな」



まだ誰にも一緒に住んでる事を言ってないのでバレる訳にはいかない。


「もしかして、一緒に住んでるとか?」


いきなりクライマックスに突入しそうだ。


「そ、そんな訳ないじゃないか」


「まぁそうだよな天花寺さんがお前と住むわけないよな」


「あはは。そうだよ~」



危なかった。



   花音side


今日も呼び出し3回。


断ると分かっているのになんで呼ぶのかしら。


ドMなの?それとも...



「あの!僕と付き合ってください!」


「ごめんなさい。私好きな人がいるの」


「そうなんですか。それは誰ですか?」


「教えない」





「今日も告られてなかった?」


「そうなの。まったく困っちゃうわ」


「花音はモテモテだね~」


「そんなことないよ」


「でさ、彼氏とか本当にいないの?」


「いない!好きな人なら...」


「誰だ~?」


「教えない」


女子高生の会話なんてこんなもの。恋ばかり。よく飽きないと自分でも思う。



「今日遊ぼ~?」


「ごめん今日その人と遊ぶの」


「それはしょうがないね。デート楽しんで~」




校門まで行くと


「えぇ~あの人カッコよくない!?」

「確かに。誰待ってるのかな?話かけちゃう?」



そんな声の先に目もくれずに待っていた。



「花音お待たせ~」


「お迎えありがとう」


「本当だよ。疲れて仕方がない」


「そういう事は言わないの」



夏樹だった。



「えぇあのイケメン君初川の彼氏さんか~」

「残念ね~」

少し勝った気がした



「全く参っちゃうな~」


「めっちゃ嬉しそうですけど」


2人で友達らしく遊ぶ放課後だった。




明日から噂されるのが確定した瞬間だった。




   千夏side


「今日もお疲れ様」


「お疲れ様です」


「この後ご飯行かない?」


「すみません今日はごめんなさい。また今度お願いします」


「えぇ分かったわ」



完全に変わった夏樹君を前に少し火が付いた。



とあるチケット片手に待つ大人の女性がいた




「お疲れ様」


「お疲れ様です」


「ところで夏樹君」


「はいなんでしょう」


「このライブに行きたいのだけどチケットが余ってしまったの」


「このバンドめっちゃ好きなんですよ!」


「い、一緒に行ってくれない?」


「ぼ、僕とですか?」


「えぇ」


「千夏さんが良いのなら...」


「決まりね。じゃあまたね」



照れた顔を隠しながらショッピングモールを歩く大学4年生がいた。





楽しめるか不安になる男子高校生もいた。


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