第9話 祝日の過ごし方

    夏樹side


本日5月3日は千夏さんと約束がある日。


きれいなお姉さんみたいな千夏さんの隣にいて恥ずかしくないように雄太と遊ぶ時よりもおしゃれに気を使い服を選ぶ。


待ち合わせ時間まで時間がまだあったので美容院に行きスタイリングもしてもらった。


「よし!これでOK」


気合を入れて待ち合わせ場所に約束の15分前の18:45に到着し千夏さんが来るのを待っている。



「夏樹君おまたせ~」と時間ぴったりに来た千夏さんはザ・大人の女性という雰囲気を纏っておりその美しさに言葉が出なかった。


「どうかな?」


「と、とても似合ってると思います!かわいいです」


「あ、ありがと」


「じゃ千夏さんに付いて行きますね」



千夏さんの横を歩かせてもらう俺はもちろん緊張している。今にもちびりそう。


なんやかんやで着いたのは待ち合わせ場所から3分ぐらいの焼肉屋さん。焼肉のおいしそうな匂いが店の外まで溢れており食欲がそそる。


店の中に入り俺にも見えるようにメニューを見せてくれる千夏さんは本当に優しいんだなと思った。


ピーンポーン!という呼び鈴の音の後に「はいただいま~」と言う男性店員の声がした。


「生ビール1つと夏樹君は?」

「ウーロン茶でお願いします」

その他にも色々注文した。


「とりあえず以上で」


「はいかしこまりました!」




机に運ばれたビールとウーロン茶で乾杯をする。




「夏樹君は思いを寄せてる人とかいるの?」


「い、いないですよ」いきなりだったので動揺してしまった。


「それよりそんなに飲んで大丈夫なんですか?」

千夏さんの前にはグラスがすでに3つある。


「大丈夫よ私お酒強いもの。それに明日はお休みだしね」


「それ弱い人が言うセリフじゃないですか?」

すでに顔が赤くなっている千夏さん。ご飯もまともに食べていない。


    千夏side


5月3日の約束の前の日の夜私はとある先輩に電話を掛けた。


「あ、もしもし先輩」


「何?どうしたの急に」


「明日男の子と食事に行くんですけれど何かアドバイスとかありますかね?」


「その男の子とはヤりたいの?」


「ひぇ!???まぁ夏樹君がどうしてもって言うなら。。。」


「じゃあお酒のチカラで家まで送ってもらって家で手を出してくるのを待てば行けると思うわ。手を出してこなかったらこっちから誘っちゃえばいいのよ」


「あ、ありがとうございます!持つべきは男たらしの先輩ですね!」


「あんた今度飲みに行くとき覚えていなさいよ」


なんて冗談で通話は終わり×のマークを押す




そして今私にほろ酔い期が到来している。時刻は19:30

すごいふわふわする。楽しい。


夏樹君は高校2年生とは思えないほどおしゃれで紙型もバイトの時とは違いめっちゃかっこよかった。


「千夏さんこそ好きな人とか気になる人いないんですか?」


「いると思うの??」とちょっとスタンスを変えて聞き返してみる


「千夏さんみたいにお美しい容姿だったら彼氏がいてもおかしくないと思いますよ」とすごいアッパーがきた。


もうカウントが始まっている。


「そ、そうかしら...」


「はい!かわいいと思いますよ」


カンカンカーン!

もう私のHPはゼロ。うれしい気持ちがありながら恥ずかしい気持ちもあった。



瞼がとっても重い。うとうとしてきた...




起きるととても肌寒かった。5月なのにおかしい。

体勢がきつい。ってこれって


目を開けると夏樹君が!ってあれ?


「夏樹君??」


「あ、おきましたか?今駅に向かってます」


「それよりこれって、おんぶ?」


「すみません。21:00になっても千夏さん起きないものですから」


「ごめん」


「謝ることじゃないですよ。寝顔可愛かったですよ」


やめて。今そんなこと言われたら夏樹君に心臓の音が伝わっちゃう。


「さすがに酔っている女性を放っておけないので家まで送りますね」




ありがとう。


作戦が順調にうまくいっている千夏であった。




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