第10話 作戦

    夏樹side


電車から降りて千夏さんの家に向かっている。

ふらふらとしている千夏さんに肩を貸し2人歩いている


「ここ」と歩みをやめて立ち止まったのは2階建てのアパートの前。そして階段をゆっくり上がった。


「ここが千夏さんの家ですか?じゃ僕は帰りますね!しっかりお水飲んで寝てくださいよ」


「ちょっと待って」酔っいる千夏さんからはっきりした口調で言われる。


「ど、どうしたんですか??」


「お、おなかすいた」とドアを開ける千夏さん。確かにお酒ばかりで少ししか食べていなかった。


「いやいや、お家にお邪魔するなんて恐れ多いです」


「いいのよ。早く入って」


「で、ではお邪魔します」

白を基調とした部屋でとてもかっこいい部屋だった。


一目散にソファにダイブしてクッションに顔を埋める千夏さん。おなかがすいているらしいのでコンビニにでも行こうとしたその時


「ご飯作るからちょっと待って」


「いや、僕は食べたばかりですので、僕のはいらないですよ」


「えぇ要らないのか~」と言って台所に向かう千夏さん。


「僕が作りますよ」

流石に酔っている人に料理を作らせるのは危険だと思った。


「え!?いいの?」


「簡単なのしか出来ないですけれど」


「ありがとう」


そして出来たのは野菜炒め我ながら上手くできた。


初めて人に振舞った料理だった。


とっても美味しそうに食べてくれる千夏さん。素直に嬉しかった



「もうすぐ補導されちゃうので帰りますね」


「えぇ」美味しく野菜炒めを食べていた顔とは打って変わって寂しそうな顔をする千夏さん。


「明日も予定があるので。すみません」



すると千夏さんの口から耳を疑う言葉が聞こえた。


「泊まって」


「なんですか??」


「泊まってよ」

どう反応していいのか分からなかった。


「冗談はよしてください。まだ酔っぱらってます?」


「本気よ」本当に冗談だと思っていた


「また今度~」と誤魔化して玄関に向かおうとした時に手を取られた。


今にも泣きそうな顔をしている。



「冗談はよしてください。勘違いする人だっているんですよ。千夏さんは自分を大切にしてください。今日は楽しかったです」


と千夏さんの手を取り言った。



「おやすみなさい」



失敗したが確信した女子大学生がいた。



   千夏side後日


「好きになっちゃったかもしれません」


と恋バナで盛り上がっていた


「でヤったの?」


「ずっと無防備だったんですけど手も出してきませんでした」


「夏樹君ヘタレ男~写真とかないの??」


「ないですよ~でも先輩のイマ彼よりかっこいいですよ」


「そんな訳ないでしょ~」


「でも夏樹君だったら何もしてこないと思っていたのかもしれませんね」


「あんたほんとに顔とおっぱ〇だけは良いんだから自信持ちなさいよ」


「だけは余計ですよ?」


「じゃまた夏樹君との惚気話聞かせてね~」


「まだそんなんじゃないですよ」



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「夏樹君」




    夏樹side


昨日は疲れたな~

今日は花音と買い物。



昨日の千夏さんの時ほどではないが気合を入れて花音の家へ行く。


「あの~青井 夏樹です。花音さんいますか?」


「あら夏樹君久しぶり~また大きくなったね~」


「そうですかね。高校入学おめでとうございます」


「ありがと~まさかあの花音がもう高校生だなんて」


花音のお母さんとは仲がいい。


そして俺と花音のお母さんの話を聞いて花音の弟がひょっこり出てきた。


「お~寛太~久しぶり~」


「お兄ちゃん!」


「おバカさんなお姉ちゃんいるか?」

うなずく寛太



「聞こえてるから」

とても殺気を感じた。


「花音早くしろよ。もう15:00だぞ」


「もう少し待って~」


「寛太は可愛いな。何年生になったんだ??」


「たしか小学2年生かな?」


「小2か~花音と結構離れてるな」


「そだね。ってか今日名前呼びじゃん!うれしい」


「もどしても良いんだが」


「そのままでお願い。じゃ行こっか」



「行ってきまーす」と大きな声で花音が言うと


「行ってらしゃーい」と花音のお母さんと寛太が返してくれた。




初めて女子高生のショッピングに同行する


そこには不安しかなかった。




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