第6話 待つのが得策

花音と別れた後、私は1人ショッピングモールに戻るのであった。


喫茶店『あおば』の前の通路の真ん中に設置されている椅子に座る私。


いつしか夢の中にダイブしていた。


  夏樹side


「すみません!遅れました。」


「ダイジョブってことよ!きょうもヨロシクね」

カタカナが多いのは店長。ハーフのすごい日に焼けた人だ。


「夏樹くん今日もよろしく〜」と声をかけてくれたのは5つ上の大学生の千夏さん優しいお姉さんみたいだ。


千夏さん目当てで来る男性客も多いそうだけど俺は売上に貢献してくれてありがたいとしか思えない。


俺は営業の作り笑顔で接客する。これも社会を知ることに置いて重要だと思っている。


バイトは楽しければ早く終わるもので18時〜21時のバイトが終わり店を出る。「お疲れ様です」


「お疲れ様〜」

「オツカレ」

千夏さんや店長はいつも言葉を返してくれるので居心地がいい。


店を出てすぐの椅子にある女子高生が眠っていた。


起こすべきかそっとしておくべきか。心の中で天使と悪魔が戦っている。

誰かわかんないしな〜と顔を確認するべく近くに行くとすぐに分かった。


長い黒髪と長いまつ毛シンデレラのような寝顔を俺はじっと見てしまった。


流石にここで寝ているのは迷惑だし見過ごすのはいずれ後悔すると思い肩を揺らす。


「なぁここで寝てると迷惑かかるぞ〜」


「んにゃ〜なに〜」


「起きた方がいいぞ〜」


はっと飛び起きた女子高生は目を点にしてこちらを見つめる。


「俺の顔になんか着いてるか?」


「ひゃっ!何も...あ、ありがとう」


「じゃ気をつけて帰れよ〜」


「ちょっと待って!」


「ん?なんだよ」


「あ、あの時のお礼としてこれ受け取って」


「お礼はいらないって言っただろ?」


「ダメなの!!」と言っても紙袋を俺に押し付け彼女は帰ろうとする。


「ところで名前はなんて言うんだ?」


「天花寺 綾香よ。なんか変!?」


「い、いや変じゃないよ。ありがと天花寺!俺は青井 夏樹!」馴れ馴れしく天花寺なんて呼んでしまった。


明らかに顔が赤くなった天花寺さんを見ているとこっちも頬が熱くなるのがわかった。


「よ、よろしく夏樹君。じゃあね」


「家まで送るぞ」


「う、うん。ありがと」

かっこつけて送るなんて言ってしまったが心の中では断って欲しかった。



  綾香side


無言の時間が続く。とっても気まずい。


「なんでずっと寝てたんだ?」


「眠かったからね。あはは」

会話はこれで終了。


驚くほど短い会話は少女漫画である気の弱い同士の会話みたいだった。


電車の中で夏樹くんの顔を見ようと目線を夏樹君の方へ向けると美しい輪郭と綺麗なあごのラインと白人のように高い鼻に見とれてしまっていた。


か、かっこいい。なにこいつ顔整ってんじゃん

「俺の顔ばっか見て何かついてるか?」


「い、いや何でもないの」

また沈黙。めっちゃ恥ずかしいかも。


「私の家ここの駅が最寄り」


「じゃあ降りるか」

え本当に付いて来てくれるの!?


15ⅿ間隔ぐらいである街灯の下を夏樹君のペースに合わせて歩くと私の家に着いた


「私の家ここなの!本当にありがとう」とマンションの前で止まるすると夏樹君の様子がおかしい。びっくりしてるのかな


「え」


「何どうかしたの?」


「い、いや俺の家もここなんだよね」


えぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!


  夏樹side


同じ最寄りじゃないか。


え、家の方向一緒。


俺ん家のマンション近づいてきたよ...


あぁ見えちゃった。もしかして同じなの?


そんなこと思っていると

天花寺さんが止まりここと言ったのはまさかの俺と同じ家~!


こんな展開アニメでもラノベでもないよ!?


「い、いや俺の家もここなんだよね」


目が点になる天花寺さん

「エ、イマナンテイッタ??」


「同じマンションに住んでるんだよね」


「へ、へぇ~~」

動揺を隠し切れてない天花寺さん


同じエレベーターに乗り階数を指定する流石に同じ階はないよな


「あっ」

「あ」


2人の手が同じボタンの上で重なる。50という文字の上で


めっちゃ気まずすぎる。


50階ですと言うアナウンスが鳴りドアが開くがどちらも下を向き先に行ってくれと念じるだけ。


ドアが閉まりますというアナウンスが鳴り始めた時に開くボタンを押したのは俺。天花寺さんは走って自分の家に行ってしまった。


何号室なんだろ。



悲劇の週末になることを知らなかった。




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