第35話 早朝の悲劇

看病が上手く行っただろうかそんな事を考えながらベッドにもたれた俺の部屋に少女が1人入ってきた。


「夏樹、トイレ一緒に行こ」


「1人で行けないのか?」

妹気質のある花音の言葉に一瞬ドキッとした。


トイレの前の壁に背中をやってスマホの画面を見ていると

「夏樹いる?いなくなった?」と怯えているような声が聞こえた。


「居なくなるわけないだろ、しっかり拭くんだぞ」


「夏樹のバカ!」

ドアの向こうから深夜にも関わらず大きな声が聞こえた。



花音のトイレが終わり俺の部屋に戻ると花音も俺の部屋に入ってきた。

「どうした?」


「...」


暗闇の中、無言で何かを訴える花音。


「さみしいのか?早く寝ろよな」


俺は掛布団を持ちベッドに入ろうとした。

すると、


「ごめん、今日はここで寝させて」



セミダブルサイズのベッドに背中を合わせて花音が入ってきた。


俺が花音の方を向こうとしたとき、俺の顔と花音の顔が近づいた。

一瞬時が止まったように感じた俺と花音は目を大きく開いて同時に薄い朱色に照らされた俺の部屋で「はっ」と言う声が重なった。



「ご、ごめん」と元の体勢に戻そうとした時花音が俺のTシャツの袖を引っ張った。


またも無言で訴えかけてくる花音にどうすることも出来ず俺と花音は向き合いながら夜を明かした。



って寝れるわけもなくカーテンから日が差し始めたころに俺は花音が寝息を立てる中リビングのソファに腰を掛けた。


しばらくして千夏さんがやってきた。

「夏樹君おはよう。今日は早いね」


「おはようございます。ちょっと眠れなくて」


千夏さんの後に天花寺さんもダイニングで朝食を食べ始めた。


俺も朝食をいつもより早く食べ始めた。


ガシャンと俺はフォークを皿の上に落とし口を大きく開いたまま1つの事に気付いた。


花音が俺の部屋から出てきたら...


「夏樹君どうしたの?」

「夏樹君行儀が悪いよ?」


天花寺さんと千夏さんの言葉を無視して立ち上がり俺の部屋に猛ダッシュで向かい勢い良くドアを開けるとそこには気持ち良さそうに寝る花音がいる。


「ふにゃふにゃ」とまだ夢の世界にいる花音を強く揺さぶり起こす。


「花音!起きてくれ」


花音が起きないけれど時間は無情にも過ぎていき部屋の外の廊下に足音がした。


「夏樹君?どうしたの~?」

天花寺さんの声だ。


「え~ちょっとね」


「入るよ?」


「待って」



遅かった。天花寺さんの目をじっと見つめる俺と目を俺と花音に交差させて口を大きく開ける天花寺さんとま夢の中にいる花音と。


「これはどう言うこと?」


「違うんだ。ちゃんと説明をさせて欲しい」





場所は移り早朝のリビング


ソファに足を組んで座る天花寺さんと笑いながら座る千夏さんと千夏さんの肩にもたれる花音とフローリングに正座する俺の裁判が始まった。



「被告人の言い訳は?」

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