第31話 新生活
夏樹side
新生活が始まってからおよそ3か月で”新生活”が2回も変化した。
「夏樹君起きて下さ~い」
耳元で聞こえる幻聴もぼんやりとした視界の中に移る幻覚も全てが.......
「うわぁぁぁぁぁ!」
今日から”改”生活が始まった。
今日は2人の荷物を運ぶらしいので俺も荷物運びとして招集された。
まだ現実を受け入れ切れていない状態で向かったのは千夏さんの住むアパートだった。
「やっぱりこのアパートいいですね」
うっかり失言を...
しかし見逃さないのが女子なのである。「「やっぱり???」」と天花寺さんと花音が口をそろえて言った。
「あ、いや副詞を間違えてしまったよ。なんでもないよ」
苦し紛れに乗り切った?しかし千夏さんは覚えているのであろうか。あの”こと”を。
千夏さんの方へ目をやると顔を少し赤らめて下を向いていた。こっちまで赤くなってしまった気がした。
「成田さん?」花音がそう聞くと千夏さんは「あっごめん」と言ってカバンの中から慌ててカギを取り出した。
前来た時とあまり変わっていなかった。ベッドの方を見ることができない。
「ではお願いします」と言って作業を始める3人を見ていると
「夏樹君突っ立てないで手伝って」と天花寺さんに注意された。
俺は千夏さんの隣で作業をし始めた。
「急なのであまり無理しないでください。いきなり同居だなんて無理してますよね?契約とかいろいろ」
「夏樹君、心配してくれてるの?でも楽しそうだから同居させてもらうわね?」
そう笑って言った。乗り気な千夏さんはまた作業に集中し始める。
何とか4人がかりで引っ越し作業を終えると休む間もなく次の場である花音の家に向かった。
「夏樹君花音のことよろしくね~この子もう一人暮らししたいとか言い出してどうしようと思ってた所なの~」
「ちょ、お母さんやめてって」
「夏樹君が花音の旦那さんになってくれたらもっと安心なんだけどね~」
「お母さんっ!?」
顔を真っ赤にした花音が目で訴えかけてくる。
「違う!」と。
本当に勘弁してほしい物だ天花寺さんと同居し始めてからずっとのんびり過ごし、読みたいときに本を読み、したいときにゲームをする素晴らしい生活ができなくなってしまってるのに...
花音宅での引っ越し作業も終わってマンションに戻って俺は真っ先に眠りについたのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます