第28話 fever

前回の続き



倒れてきた夏樹君を慌てて支えると

夏樹君の身体はとても熱かった。


「熱!?」


「本当か?すまない、部屋まで肩を貸してくれ」


私は肩を貸した。私にかかってくる重みと熱。それは私を焦らせた。


夏樹君の部屋に着き夏樹君をベッドに寝かせるように肩から腕を放す。


「体温計と熱さまシート持ってくるね」


「ありがとう」


いつも助けてもらってばかりだったから今回こそは、今回こそ。


「私が夏樹君を助ける!」

そう心に決めて夏樹君の部屋のドアを開けた。





「38.4!?!?」

思わず大きな声を出してしまった。熱さまシートを袋から1枚取り出して夏樹君に近づく。夏樹君の髪を手で押さえて体を近づける。夏樹君の少し荒い呼吸と私の心臓の音で頭の中はいっぱいだった。



「これでよし!」


深く深呼吸をした。



何したらいいの?

食べ物は?

よく効く薬は?


不安要素しか無くて考え込んだ。すると時刻はもう20:00


「マズイ!ご飯作ってあげなきゃ」

私は急いでキッチンへ向かいスマホを開いて


【おかゆ 作り方】

で検索した。作り方が色々出てきたが迷っている暇はない。一番上に表示された手順でおかゆ作りを始めた。






少し手こずってしまって時間がかかったが無事おかゆと言うものが出来た。もちろん味見もね



真っ暗な部屋の電気をつけると当然夏樹君は眠っていた。先ほどよりは顔色がよくなっていた気がした。



「夏樹く~ん」と耳元でささやくと


「ん~?」と反応があった。


「おかゆ作ってみたのですがいかがですか?」


「ありがとう。せっかく作ってくれたから頂くよ」

風を引いているのに感謝の言葉をくれた夏樹君。顔が少し熱くなってきた。


「どうですか?お口に合わなければ...」


「すごい美味しいよ。ありがとう」


「これぐらいなら毎日作りますよ」

手こずったことを隠して見栄を張った。



夏樹君が食べ終わり私は部屋の電気を消してベッドの淵に寄りかかった。


静寂の中に2人。




「私ね夏樹君が好きなのかも」




「寝てるか」




  夏樹side


花音と付き合っていることを報告しに行ったときには体の異変に気付いてた。


まぁ仮だよな。嘘の恋人。気に病む必要ないよな。


考えれば考えるほど頭がくらくらしだした。



綾香さんの作ったおかゆを食べたとこまでは鮮明に覚えている。


とても美味しかった。おかゆは不味いって聞くけどそれは嘘だったかの様。



それから少ししてまたくらくらしてきた。暗くなった部屋。



少しして。誰の声だろうか。綾香さん?


「私ね夏樹君が好きなのかも」



夢だよな。



  千夏side


今日は珍しく夏樹君が風邪でバイトを休むと店長が言っていた。


「夏樹君のお見舞い行ってあげる?」店長がそう言った。間違いなくそう言った。


「なんでそんなこと?」


「今日のチナツさんなんか元気ないもの」


「そ、そうですか?元気ですけれど」


「私からもお見舞いの品を渡して欲しいの」

そう言って店長は紙袋に入ったお菓子の箱を私に渡した。


「家ってどこですか?」


「えーっとね~」完全に個人情報。アウトでしょ。結構近かった。私は教えてもらった夏樹君の家に向かうのであった。



少し気まずさもあるけれど。。。




  花音side


昨日の事でとても迷惑をかけてしまった。


そう思って私はLINEでメッセージを送ったけど既読すらつかなかった。


「嫌われちゃったよね。謝りに行かなきゃ」


そうと決まればまずはお母さんに夏樹の家を聞いた。


「夏樹君確か一人暮らしはじめたとか」


「そ、そうなんだ~」





夏樹の家が分かった。私は気持ちの整理をして夏樹の家まで向かった。




お母さんに教えてもらった場所に着く。


「高っ。この50階!?」



エントランスに向かうとそこには


大人っぽくてスタイルの良い美しい人がいた。














修羅場coming soon

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