第24話 先駆け
前回の続き
「そんな顔するなんて花音らしくないな」
ここで言っていいのか。いう決心がつかなかった。
私と夏樹が出会ったのは公園のベンチでボロボロで血で滲んだ膝を抱えていた夏樹にハンカチを渡した時。
瞳が雫でいっぱいな夏樹を見た瞬間に私の何かが感じた。
私と夏樹の違いに
「なんでこうなったの?」
「お前に関係ないだろ」
いつもの私だったら「そうですか」と言って公園を後にしてただろう。
だけどその時の私を何が変えたのか分からないけどその時は違った。
「言って」
私の思いが伝わったのか夏樹はいじめられている事などすべて話してくれた。
酷いと言う感想しか出てこない。私が寄り添うしか無いと思ってしまった。
「私が夏樹君を助ける!」
今この言葉を思い出すと小学生見たいで恥ずかしい。
それから私は夏樹と遊んだりキャンプに行ったりした。助けたいという感情からいつしか『好き』と言う感情に変わっていった。
『恋』をしたことが無い私は何をしたらいいのか分からない。
でも素直が一番だよね。
でももしこの気持ちを伝えて今までのように楽しく遊んだり出来なくなってしまったらどうしよう。
そんな気持ちが毎回よぎった。
夏樹に私の事を好きになって欲しい
でも夏樹と今と同じように楽しく遊んだりしたい
夏樹を独り占めしたい
楽しく毎日を送って欲しい
頭の中は夏樹の事ばかり。
どうしちゃったんだろう私。。。
「私、夏樹が好きなの」
と言った時にタイミング悪く私と夏樹の横をバイクが通る。
「え?なんて言った?」
「やっぱ何でもない」
「そ、そうか。ゆっくり休めよ。いつでも誘ってくれ」
「うん!またね」
やっぱり今の関係をもう少し続けてもいいかな?
夏樹には困ったよ
千夏side
いつも夏樹君とバイトが重なると目で追ってしまう私がいた。
高校生活の3年間で告白され過ぎて男の子に全く興味がなくなってしまった。公開告白された時の気まずさと言ったらもう、うんざり。
なので大学ではあまり目立たないようにマスクと眼鏡をしているのだけどバイトではどちらも外して接客をしている。
そのせいで数々のナンパを受けてしまう。
男に興味なんてないのに。
そんな生活に光が差した。
店長の紹介で今日から一緒に働く事となった彼を見て私は思わず目を奪われてしまった。
高い身長。優しそうな瞳。とても綺麗な顎のライン。すべてに見とれてしまった。
それから私は夏樹君をご飯に誘ったりお酒のチカラで男の心を揺さぶった。なのに夏樹君は振り向いてすらしてくれなかった。
完全に私『恋』しちゃってる?
今日も夏樹君とバイトが被った。
「今日この後空いてる?」
「はい。空いてますけどどうされました?」
「行きたい所があるの。一緒に行かない?」
「僕で良ければいきます」
気合を入れてある場所へ向かう千夏とドッキリかと疑う夏樹であった。
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