第26話 ご立腹

前回の続き


「ただいま〜」

腑抜けた声で言う。返事はない。静かにリビングのドアを開けると直ぐに腕を組み仁王立ちしている天花寺さんがいた。


俺は何事も無かったかのように自分の部屋の前に行く。天花寺さんの隣を通り抜けた。と思ったが腕を強く引っ張られた。


「急用を思い出したー行かなきゃー」玄関へ戻ろうとするが天花寺さんは手を離してくれない。


ただ黙って俺の腕を強く握る天花寺さん。下を向いたままでどんな表情をしているか分からない。一つだけわかるのは体が震えていると言う事。



「て、天花寺さん。」呼んでみても返事をしてくれない。



どうしたものか。


どれくらい経っただろうか。ずっと俺の腕を握ったままの天花寺さんは話てくれそうにも無かったの。



昨日のこと謝るべきなんだよな。


  綾香side


バカ。こんな情けない顔見せれるわけないじゃない


私は顔の温かさが冷めるまで夏樹君の腕を握ったままでいた。


「ごめん。本当にごめん。もう心配させないから。顔を上げて?」

そう夏樹君が言った。


「...」


そして夏樹君は...



私の小さな体を夏樹君の大きな体で包み込んだ。


え?何?どう言う状況!?


私は包まれるがまま夏樹君の胸におでこを当てていた。


夏樹君の体温。心拍数がおでこから伝わってくる


「笑ってる天花寺さんがいいんだ。」そう言って夏樹君はさっきよりも強く包み込んだ。


私は何がどうなっているのか分からなくて夏樹君を見る。


夏樹君は恥ずかしそうにおどおどして顔は赤かった。


「恥ずかしいならやんなくていいの!」

強がって私は言った。


「許してくれるの?」


「今回は許す。ただ1つお願いがあります」


「お願い?」


「私は夏樹君って呼んでるじゃない?」


「そ、そうですね」


「だから夏樹君も私の事を名前で呼んで欲しいの」


「まぁいつか...夕飯にしようか?ね?お腹もすいたし」


あからさまに話を逸らした夏樹君に追い打ちをかける。

「今言ってみてよ」


夏樹君は私の目の前に立って顔をさらに赤くさせて言った。

「あ、あ、綾香さん」


照れている夏樹君はいつもと違って小動物のように可愛かった。そして私の顔も次第に赤くなっていった。


「綾香さんが照れてどうするんですか?」


「て、照れてなんかないわ!熱いのよ!」


「そ、そうかもしれませんね」




私と夏樹君にいつもの日常が戻って来たのであった。



  花音side


「花音、お父さんの友人の息子さんとお付き合いからでもいいから許嫁になって欲しいんだ」


「お父さん何言ってるの?全然意味わかんない」


「まぁ明日どこかのレストランでお相手様とゆっくり話そうじゃないか」


という事があって今こうして夏樹に電話をかけている最中。すぐに夏樹は出てくれた


「夏樹?今私の家来れる?絶対来て」そう言うだけ言って通話終了。


家に着いた時には夏樹は居た。



「いきなりどうしたんだよ。今日は遊ぶのは無理だからな」


私は思い表情をして、夏樹に昨日あったことを全て話す。


「それでね...」


「今時許嫁なんて珍しすぎるな。漫画とラノベでしか聞いたことないぞ?」


「本当にそうでしょ?」


「俺をここに呼んだのは何故だ?何かして欲しいんだろ?」




ドクドクと鳴る心臓の音を聞き、大きく息を吸い込んで夏樹に向かってこう言った。




「私と付き合って!!」





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