第34話 混ざるノイズ

朝のニュースの中で、生成AIが作る人工音声で、平たんにニュースを読みあげていく時間がある。

毎回、胸がざわざわしていた。


何故なんだろうと、今日はヘッドフォンで聞いてみた。

そして分かった。

ノイズだ。


音声に微妙にノイズが混ざっている。アナウンサーがマイクに向かって喋っているならあり得ないノイズが。

人の声をエフェクタでいかにもコンピュータ音声の様に人工音声化したものではあり得ない、ノイズなのだ。


どんな男性の声を元データにしたかは判らないが、その人の声だけでは、当然滑らかには喋れない。

多くの人の声の特徴を抽出した統計データをデータベースに持っている。

そして、特定の声で喋れるように、その統計データを参考にして生成しているのだが、そのせいなのか、そこに僅かながらノイズが混ざっているのだ。

多くの特徴から生成した平均値に、特定のアナウンサーらしい声を載せている。

残念ながらそれはクリアには生成できない。


実は絵も同じ。文章も同じだ。

ノイズがかなり混ざっている。


これからは、このざわざわノイズを受け入れないといけないのか。

苦々しい思いで、朝のニュースを聞いていた。

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