第30話 AIにオリジナルの魔物を尋ねた理由

先日、AIの質問箱を使って、AIをファンタジー小説の編集者の役目をさせて、魔物をどんなものを出せばいいか、相談、会話した話を近況ノートに少し書いた。


なぜ、AIに魔物とかのアイデアを求めたのか。


実際の所、私の手元には古い昔のTRPGのための資料本として、いくつかのガイド的な古い本が転がっている。


今、手元に出してきたのは『RPG幻想辞典』。これはその昔、ソフトバンクが出した本で、TRPGのマスターをやろうという人のために、まず神話やモンスターの話などを、詰め込んだ辞典だ。(巻末には筆者手作りのTRPGのおまけまである)

つまり、昔のRPGのネタになりそうな神話とかモンスターや魔物の事なら、私にはこういう本が何冊か手元にあって、こういう手垢のついたモンスターや魔物なら、こういう資料から抜き出して、色々弄っていけばいいだけだ。


そうじゃない、新しいものを考えたかった。というのが、AIに尋ねたという話である。


さて。


因みに西洋のRPGなら、ギリシャ神話と北欧神話より、ちゃんと押さえておかねばならない神話として、『ダーナ神話』がある。

『ダーナ神話』というのは、RPG世界でも一見してマイナーに見える。

これはアイルランドの神話である。他にあるのがアルスター神話、フィアナ神話くらい。


ところが、この神話こそがアイルランド以外の西欧の国々、ドイツ、フランス、イギリスといった主要な国々の歴史のバックグラウンドとなっている神話だったりするのだ。

中世の時代の欧州にあったのは、妖精の話が極端に多い。それはここからきている。(それ故に欧州製のRPGでは、多数の妖精が出て来て、依頼されたり、いじわるされたり、様々な事件に妖精が絡むというサブストーリーが多い)

その時代の欧州では、ギリシャ・ローマ神話などより、このダーナ神話が一般民衆の間に流布されていたものである。

その理由は、欧州にもかなりいたドルイド僧にもあるのだが、彼らは文字を持ちながら、こと歴史や神話に関してだけは全て記憶し、諳んじることが重要とされており、殆ど文字で記すことがなかったために、ケルト神話はほぼ失われてしまっている。


役割も、この時代に入ると、僧侶より吟遊詩人の方が有名になっているだろう。

この吟遊詩人にも二つあり、一つは王宮と有力な貴族のところだけで語る王宮専門の吟遊詩人。

もう一つが、民衆の間で、様々な地域のニュースを別の地域にもたらしつつ、神話を語っては日々の食事を得ていた「バード」と呼ばれた吟遊詩人だ。


まあ、それではっきりとした形で残っている物は少ない。だが、吟遊詩人によって民間伝承された神話がいくつかある。

そのうちの一つが、ダーナ神話である。


因みにダーナ神話とはアイルランドに入植したダーナ族の話だ。

このダーナ族とは他の種族と比べると見かけが「極端に美しく」、そしてドルイド僧たちの魔法を使いこなし、天候までも操ったという。それでアイルランドに住んでいた人々は彼らを「神」だと考えた。

で、『ダーナ神話』となった。


ダーナ神話に出てくるのは、泉と妖精の話が極めて多い。そして水に関する神々が多数出てくる。で、泉には神が住まう、聖なる場所として、泉そのものが信仰の対象でもあった。

逆に出てこないものは、天地創造とか、人間の創造と言った他の神話なら出てくるような話が、この神話にはない。上に書いたがダーナ族はよそからやって来た神様たちだからだ。


西洋で今でも信じられている妖精の話はほぼ、このダーナ神話が源流になっている。


まあ、この神話は妖精は多数いるが、魔物らしいものは少ないようだ。


魔物っぽいのが多いのは、たぶんギリシャ神話、それもオリュンポス12神の前だ。

つまり、ティタン神族の物語の方。

そもそも、ティタン神族の多くは、姿かたちは化け物みたいなのが多い。

人の形なんかしてないのもいる。


一例をあげれば、ガイア、ウラノスの間に生まれたティタン神族の有名なやつにキュクロプスがある。一つ目巨人。これは、まだ人の姿か。これの系統に巨人族がある。


ヘカトンケイレス。こいつは百の腕を持つ巨人。これはゼウスに味方してティタン神族と戦った、いわば裏切り者。三人いる。


プリアレス。余りに怪物のため、ウラノスが深い海底に突き落としたという。姿もよく分からない。

テュポン(エジプトのテュポンとは別物)。これは上半身が人だが、肩には百の蛇が生えていて、腰から下は二匹の闘う大蛇。全身鳥の羽毛があったとか。

別の話では竜の姿ともいわれる。



まあ、ゼウスの好色も相当で、いろんな化け物姿の息子が出来ている。

ギリシア神話の中の英雄の物語は多くが、ティタン神族の化け物を人間の英雄が討ち取る話だ。


もう、古代の人が想像力に任せるままに、様々な魔物を考え出したのだろう。

これらは古代ギリシャ、ヘシオドスの時代である。


他はたぶんインドのヴェーダ神話、その後継であるヒンドゥー教の神話だろう。

ヒンドゥー教の神話はRPGに大きな影響を与えているし、インド神話には悪魔が多い。これは沢山のゲームに登場している。


他に抑えておくのが必須なのは北欧神話と呼ばれているが、古代ゲルマン神話。

あとはメソポタミア神話だろうか。


 で、そういった様々な神話から魔物を抜き出せば、かなりマイナーなものも出せるが、知っている人は私よりはるかに詳しいだろう。ネットは広い。Webにはそういう読者がいるかもしれない事を考えたら、いっそオリジナルにするべきだと私は考えた。


どっちみち異世界の話。

完全にオリジナルの魔物、魔獣でいいじゃないか。というわけである。

(名前もかなりへんてこな、オリジナルの命名である)

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