第31話 切れてしまった鎖
やってしまった。
そんなにぞんざいに扱ったか。あっさり切れたステンレスの鎖。
切れてしまったのは、バス栓用くさりで、650mmのものだ。
交換したのは12年前のことだ。
覚えている。
母がお風呂に入りたいというので、じゃあ、風呂水零して、入れ替えるよ。といって、栓を抜こうと引っ張った瞬間に切れた。
この時は、栓の根元に近いところにある金属の真上が、ボロボロになって壊れていた。
大分錆びてきてるな。とは思っていたものの、こんなにあっさりと壊れるとは、思ってもいなかった。
元々ついていた鎖は、やや長く、800mm以上あった。どこで買ってきたものなのか、だれがそれを付けたのかも知らない。
夜なので、仕方なく車を出して、金物屋に買いに行ったのだった。
当時500円ちょっとだったのは覚えている。結構するんだな。というのとワンコインで買えないのか。と思ったからだ。
今回もすぐに買いに行った。
650mmの鎖は値段はほぼ変わっていないのか、580円だった。
1000mmのは売り切れ。長いのを欲しがる人が結構いるのだろうか。
ステンレス製の鎖が10年ちょっとでダメになるとか、どういう使い方だよ。という突っ込みはあるかもしれない。
普通なら、たぶんもっと、ずっと持つ。
我が家の鎖がこんな程度で錆びて壊れるのは、お風呂から出た後に、すぐに水を零さない事が多いからだ。
それは、結構前からそうだ。
理由は簡単である。それは、お風呂の水は災害時に断水した時、トイレを流す水に使えるからである。それ以外にも、この水を掬って沸かし、体を拭くのにも使える。
そんな事をしていれば、当然のことながら、水に浸かっている部分は錆びる。
だから、10年に一度は、交換が必要になるのだった。
リングが硬くて、外すのは苦労した。取り換えには力がいる。それはリングの所に滑り込ませるのに。
ラヂオペンチで少しつまんで広がった所に差し込んで、ずらしていく。
前もそうだったなと思い出して苦笑する。
それから、やっとお風呂に入った。
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