第14話


「やぁ、お疲れぽよ!」


「てッ、ごほッ!?」


 シャインと別れて変身を解除した途端に後ろからウサギ野郎の声がする。やっぱりタイミング見ていやがったと色々文句を言おうとすれば。


「ぉ、て……めぇ……ッ!」


「あ、ごめんごめんぽよ。つい」


 振り向いた途端にボディーに強烈な一撃をぶち込まれてしまった。こいつ……、本気で死んでしまえ……!!


「シャインから連絡があって、そういえば君に説明をしてなかったことを思い出したぽよ! いやぁ、三回目になると面倒くさいから別にしなくて良いかと思ってたけどやっぱり必要かなって思って説明してあげるなんて僕はとっても優しいぽよな!」


 忘れてたどころの話じゃねええええ!!

 故意か! 故意に説明する気なかったんじゃねぇか!! 駄目だ、絶対に敵よりもこいつのほうが先に滅ぼさなければならない相手だ!!


「じゃあ動けなくしておいて安全も確保したから説明するぽよな?」


 しかもこの攻撃もわざとだし! 分かってたけどな! つい、でボディーブローするマスコットキャラがこの世に居てたまるか!

 ついじゃなくても居てたまってほしくはなかったけどな!


「そもそも僕は戦っている相手が悪の組織だとは言ったはずぽよよ? 説明していないとか僕に責任をなすりつけるのはどうかと思うぽよ」


「悪の組織で人に取り憑いて悪さをする悪い気持ちの集合体ぐらいしか聞いていねえよ!」


「それだけで満足しろよ、めんどうくさいなァ」


 また語尾取れていやがる……ッ!

 駄目だ、もう本当にこいつをどうにしないと。もしくはこいつの上司とかに連絡が取れないものか……!


「仕方ないぽよな。よく耳の穴かっぽじってよく聞くぽよ。まず敵の組織の名前は銀河征服を企む悪の秘密結社! 株式会社トッテモワルインデスぽよ!」


「ちょっとまて」


「いきなり人の説明止めるなんて失礼ぽよな」


「いまさ、株式会社とか言わなかったか?」


 どうか俺の聞き間違いであってほしい。その前に秘密結社とか、しかも悪のとか付けているくせにまさかそんな馬鹿な。


「2006年に会社法が改正になって簡単に株式会社を作れるようになったんだぽよよ?」


「銀河征服目指しているところが日本の法律守ってんじゃねえよ!?」


 あとネーミングセンスも最悪にもほどがある。

 なんだ、トッテモワルインデスって! まったく怖くもねえしなんだったら悪くもなさそうだわ!


「しゃちょ、親玉の名前は」


 社長って言いかけたよな。


「御年38京歳を超える化物! 悪のカリスマ! 全ての悪事を支配する男! その名を聞くだけで子ども達はちびり、大人達は恐怖で混乱に陥ってしまう! 名前を言ってはいけないあの人なんか目じゃないレベルで名前を言ってはいけない男!!」


「はやく言えよ」


「だから名前を呼んじゃいけないんだってぽよ」


「いいから言えよ」


「だから」


「いいから」


「ぽよぉ?」


「ごふッ!!」


 思いっきり殴られた。

 くそ……。

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