第4話
「納得してくれたみたいだから早速活動内容について説明するぽよ」
「ちょっと待て」
「まだ何かあるぽよ?」
「さらっと流そうとしてんじゃねえよ。こんなもん契約破棄だ! 破棄!」
聞かなかった俺が悪いとか言い出すのだろうがそんなこと知ったことじゃない。こんなふりふりスカート着て女の子になって魔法少女でえーいとかやってられるかってんだ!!
「破棄ぽよ?」
「ああ、そうだ! いくら駄目だって言ったって俺は絶対に」
「分かったぽよ」
「え?」
良いの? 破棄できるの? え? マジで?
こういうのって絶対に破棄できなくて……!! ってオチなんじゃないの? マジで出来るの!?
「な、なんだ……。そうなら早く言ってくれよ。怒鳴ったりして悪かったな……、そっちには悪いけどやっぱり魔法少女とかちょっとなにそれ」
「さすがに一般人に秘密が伝わるのは駄目ぽよ。断るというのであれば申し訳ないけれど記憶を一部消させてもらうんだぽよ」
「それは分かる。大事だよな」
「分かってくれてありがとうぽよ」
「で、それなに」
「記憶デリートステッキぽよ」
「記憶デリートステッキ」
「そうぽよ」
ウサギが取り出したソレは、ステッキという名称でありながら棒の形をしておらず円形の「のこ刃」がついた……つまり、
「電ノコじゃねえか!?」
「記憶デリートステッキぽよ」
「うぉおおい!? それで何をする気だ!?」
「安心するぽよ」
痛くないと言われても安心できるはずがない。
「痛いだけぽよ」
「余計に不安になるわ!?」
見た目通りで痛いのであればどこに安心する要素があるというのか。
コンセントにつないでいないくせにそんなところだけ魔法チックなのがすでにものすごい回転音を立て始めているし!!
「他! 他に方法は!!」
「あるけど面倒くさいぽよ」
「あるならそっちにしてぇええ!!」
「行くぽよ」
「やる! 魔法少女やる! やらせてください!!」
躊躇なく電ノコを持ち上げるウサギの恐怖に俺は叫んでしまっていた。だが、これは仕方ないと言えないか? 誰だってウサギに電ノコを振り上げられたらこう言うに決まっているじゃないか。
「それじゃあ活動内容を説明するぽよ」
「分かっ……ぁぁああ!! 俺の部屋ぁあああ!!」
「あ、ごめんぽよ」
ウサギが適当に電ノコを放り捨てたためまだ回転し続けていた刃が俺の部屋の家具を次々と粉砕していくのであった。
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