第38話


 まるで巨大な岩だった。

 殴った拳から伝わる感触は、まさに巨大な岩を殴ったようである。俺の全力が、まったくダメージを与えていない絶望感がこれでもかと拳を通じて伝わってくる。


 蹌踉けることもない。

 ただ少し、ほんの少しだけウサギ野郎の首が傾いた。ただ、それだけである。


「決定……」


 ただ、それだけが。


「八つ裂きぽよ」


 欲しかったんだっ!!


「感謝するッ!! 魔法少女!!」


 俺を殴るために、俺が攻撃を避けたために、俺の攻撃を受けたために、俺へと殺意を向けたために。

 生まれた隙なんてあってないようなものである。実際には一秒だってないくらいのものだ。

 そのたった一秒がありさえすれば。


「しまッ!!」


「永遠なる凍土! 世界を終わらせる闇夜の使者よ! 彼のモノの刻を止めよ!! 強制シャットダウンエターナルブリザード!!」


 全てを一瞬で凍らせる総帥さんの大魔法が発動出来る!

 どんなものでも凍らせてしまう大技だ! なんで効果が分かるんだって? 細かいことは気にするもんじゃない!!


 一瞬なんだ!

 どんなものでも一瞬で凍らせる吹雪なんだ!


 そう!

 吹雪なんだ!!


「アホかぁぁぁぁぁ!!」


 俺も巻き込んでんじゃねぇええええええええ!!

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